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「たまこまーけっと」とクリエイター・山田尚子への期待

本日未明、山田監督の新作「たまこまーけっと」が発表されたのだけど、正直に言ってドキドキしている
これは不安ではなく、「けいおん!」の新作でなかった失望でもなく、期待、楽しみというドキドキだ。ワクワクもある
自分が山田尚子という才能にここまで期待していたのかと自分自身で驚くほどだ

過去、このブログでは「けいおん!」についての作品評を幾度かしてきた。いろいろな側面からいろいろな表現をしてきたが、「けいおん!」があれほどに魅力的な作品たり得たのは、とどのつまり山田尚子という才能が生み出す作品の魅力に尽きる。それは彼女自身がグラスゴーで言ったように、彼女の「人間を描くこと」への強い「こだわり」が生むものだ。それは彼女の作品の最大の魅力であり武器でもある

山田尚子の人間に対する観察眼が並外れていることを、自分は過去何度か指摘してきた
例えば、「けいおん!」はノスタルジックだとよく言われるが、それは大雑把な表現だ。「けいおん!」の描くノスタルジーは形而上的な高校時代という情景、出来事に対するノスタルジーではない。擬似追体験によるノスタルジーなのだ
例えばs1e02で唯が初めてギターをかき鳴らした時の音が部室に響くあの演出。あるいはs2e23で最後の放課後を告げるチャイムが鳴るシーンの演出。ただギターを鳴らすだけ、チャイムが鳴るだけのシーンに数秒間の時間を割いていた。他のアニメではまず見られないことだ。しかしああいう、大切な物事が始まる場面やあるいは終わる場面のほんの些細な出来事が、長く記憶に残ることを私たちは人生経験として知っている。そういう心の情景を観察しているからこそ、ああいう演出が生まれてきたのだろう。ちなみに自分はこのいずれのシーンにも感動したし、s1e02で「今どきのアニメでこんな演出やるなんてこの監督は凄い」と素直に思ったし、s2e23を見た時はやはり改めて「さすが」と思ったものだ
「けいおん!」の持つノスタルジーとは、そうした擬似追体験によって構成されている。視聴者の多くは軽音部の体験をもってはいないに違いない。しかし作中に描かれる様々な人と人、人とモノ、人と経験の関係性とそれが生む心象風景によく似た場面を私たちは現実の人生で体験していて、「けいおん!」を通じでそれを感じ、心を打たれるのだろう。創作者は嘘で真実を描くというが、「創作物」を通じてそういう疑似体験までさせるのは、ひたすらに人間を観察し、人の心の機微に感性を研ぎ澄ましたクリエイター、人間を愛している人にしかできない演出であり物語づくりだ山田尚子は、そういうことをしてみせる、いや、そこにこそ誰よりもこだわっている、当代で最も傑出したクリエイターだと自分は評価している
余談だが、だから自分は「けいおん!」を、青春賛歌の物語であるとともに、人間讃歌の作品でもあると思うのだ

「けいおん!」という作品は、その模倣、フォロワーが生まれることによってアニメの潮流のひとつのメルクマールになり、新しいジャンルを開拓した先駆者としてアニメの歴史に記されるだろうと思っていた。確かに「けいおん!」以後、似たような作風の作品はいくつか生まれたが、それらは所詮、「部活」とか「女の子メイン」とか「友情」とか…そういった上辺の「要素」を模倣したにすぎず、上記したような「けいおん!」が描いてみせた根本的な部分―「人間を描く」というところ、魅力の本質の部分で「けいおん!」の次元まで来た作品はなかった。結局、「けいおん!」が切り開いた山の頂までついてくる者はいなかったのだ
自分にはやはりどうも、それに対する失望が少なからずあったらしい…「らしい」というのは、だからこそのこのドキドキワクワクだと、今にしてわかったからだ。山田尚子を超えるのは山田尚子だけなのかもしれない、彼女は結局、自分自身の力で新しいジャンルを切り開くのかもしれないという期待、あるいは願望が、今のこのドキドキする気持なのだろう

twitterでもいったが、自分にとって、山田尚子の新作に期待するということは、萌えに期待するのでも声優に期待するのでもない。彼女がいかにして、どのように「人間を描いてみせるか」「人の心を描いてみせるか」。そこへの期待に尽きる
そして自分はその点について不安を持っていない。信頼を置いていて、まだ見ぬものを見せてくれることに期待してもいる
極論すれば、「"人間"が一番面白いのだ」というところで勝負するのが山田尚子の作品だと思う
多分それは「けいおん!」でも「たまこまーけっと」でも変わらないはずだ。そんなところで新作を期待して見てみたい
新作の成功の先にきっと、「けいおん!」の新作も―それが映画かTVシリーズかまた別の形態かはわからないが―可能性が現れてくるのだろうと思っている
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テーマ : たまこまーけっと
ジャンル : アニメ・コミック

山田・堀口・吉田トリオ新作「たまこまーけっと」発表

というわけで、本日TOKYOMX放送の中二病の後で、山田尚子監督、堀口悠紀子キャラデザ、吉田玲子シリーズ構成というけいおんトリオチームでの新作オリジナルアニメ「たまこまーけっと」(13年1月放送開始)が告知され、当時に公式サイトが開設されました


tamako.jpg
遂に新作始動か…!

tamayama.jpg
サイトには監督のコメントもw


まあ、氷菓、中二病と山田監督がほとんどなにもしていなかったので、新作の仕込みをしているのは想定の範囲内でした

京アニがオリジナルでの成功を悲願としているのはわかっていましたが、その先鋒に山田尚子とけいおんチームが起用されたというところに、この企画に賭ける京アニの覚悟、そして山田尚子の社内の評価の高さをうかがい知ることができます。この企画に興奮するというよりは、その事実に戦慄する、という感想のほうが強いです

というわけで、第一弾CM。これは高まるw

 
これでけいおん第三期はなくなったと見る向きも多いでしょうが、個人的には全く逆で、このチームが再び結成されたというところにわずかな可能性が残ったように感じます。この作品の成功を祈りましょう!

テーマ : たまこまーけっと
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