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【考察】 続・空の向こう、星の彼方

この記事は山田尚子監督作品の分析のようなものです
この記事は前回の記事の続きで、昨夜から本日朝未明にかけてツイートした内容(     他)を総括したものです
よって、まず前回の記事を読まれることを勧めます

■ まえがき

というわけで

でまあ、前回は、映画けいおん!における「宇宙と交信」の謎解きと、けいおん!→たまこま→たまこラにおける、「空」から「宇宙」へのテーマ、フォーカスの変化、それぞれの意味あいについてアプローチし

・山田監督が「宇宙」というフレーズに込めているものは改めて「未知の世界としての未来」なのだ
・もっと近い未来、そして自分たちが選ぶ未来としての、ひこうき雲の空
・「映画けいおん!」が「"空の向こう"の物語」なら、次に挑む「たまこラブストーリー」は「星の彼方」つまり「"宇宙"の物語」なのではないか? 山田監督は、"ラブストーリー"をそう位置づけたのではないか?

…という結論に至ったわけです
つまり、たまこラで描こうとしている「ラブストーリー(=恋愛)」というテーマを「宇宙」と位置づけている(=「恋愛」を「宇宙」になぞらえている)のではないか? という結論だったのですが…

果たして、昨夜放送された中二病でも恋がしたい!戀のEDもまた、山田監督の絵コンテ演出でしたが
でましたね。宇宙がw

中二戀はあくまで石原監督の作品なので、自分は短絡的に先の考察を今回の中二戀のEDに落としこんで考えることには抵抗があるのですが、しかしあの映像に込められている「宇宙」が「恋愛」のことであるなら、山田尚子という表現者の思想性としては、一貫性が見えてくる話ではあります
(つか、先の考察を踏まえると、「ラブコメ」である中二戀のEDで、山田監督の表現手法として「宇宙」が出てきたのは、予測できる範囲、蓋然であって驚きではないわけです…ええ、山田尚子のファンですからね!w)

というところから、改めて、空と宇宙についての考察を整理してみようというのが、本記事の主旨です

■ 山田監督の思索とアプローチの変遷

中二戀のEDの「宇宙」、またたまこラで再び恋愛に対して使われている「宇宙の入口に立っている感じ」での「宇宙」はおそらく「恋愛」を暗喩したもの、もしくは恋愛の世界を意味したものでしょう
しかし、「映画けいおん!」での、オカルト研や純が口にした「宇宙と交信」というフレーズにおける「宇宙」を、イコール「恋愛」とすることには無理があります
また「たまこま」のe11の件のシーンでの会話においても、史織たちは親友であるたまこの結婚話という青天の霹靂、突然の変化と未知の未来に動揺していた、その比喩として「宇宙の入口に立っている感じ」というセリフと「宇宙」が使われていたのであって、これもイコール「恋愛」とは言いがたいものがあります

これを時系列でみると、「けいおん!」の段階では、「宇宙」の暗喩するものは茫漠たる無辺の「遙かな未来とその可能性」であって、その中にはおそらく恋愛も含まれていたでしょ う。それが「たまこま」になると、「結婚」というより具体的な要因があり、「宇宙」が暗喩しているものはよりリアリティを増して、「異性と作る未来とその可能性」になっています。そ して「たまこラ」「中二戀」では、「宇宙」は「「恋愛」がもたらす未来とその可能性」という、極めて具体的なものになっているということです

つまり、「けいおん!」→「たまこま」→「たまこラ」「中二戀」という作品を通じて、山田監督の中で、「宇宙」が暗喩しているもの(なぞらえているもの)が「未来という未知の世界」から「未知の世界としての恋愛」という風に変遷があったと自分は考えています

当ブログと相互リンクしている「忘れられた庭の静かな片隅」エンドスさんが指摘されていますが、また一方でこれは、「けいおん!」→「たまこま」→「たまこラ」(「中二戀」)という流れにおいて、山田監督の視点とキャラクターへのアプローチが、客観性の強いモキュメンタリーである「けいおん!」から、共同体と個人の関係性をテーマにした「たまこま」、そしてラブストーリーをやると公言している「たまこラ」で個人の心、内面に踏み込んでいくという距離的変化があることと(当然に)対応しています

まとめると、作品作りのスタンス(キャラクターへのアプローチの距離)が遠く→近く(内面)へと変わってきたゆえに、「未知の世界」である「宇宙」の持つ意味合いが、「茫漠たる可能性」から「恋愛」に絞られていったということが言えると思います

…という総論をたてたところで、今一度、各作品における扱いを振り返ってみましょう

■ 「映画けいおん!」における「空」と「宇宙」と性愛

映画けいおん!のラストシーンの足元の長回しですが、あれは原作最終回のエピソードを持ってきているのは周知の通りです。ですがあの一連の会話の中で、山田監督が原作からあえて省いた唯のセリフがありました。そう、原作では「女子大生だよ、大人だよ!」と言っていたのに、映画では唯に「大人だよ」とは言わせなかったのです
自分はそれを、重要な山田監督のメッセージ性を感じる改変と捉えています。橋の向こうに行く唯たちはまだ大人になるわけではなくて、これは少女以上大人未満の成長であると、監督はそう位置づけていたのでしょう。つまり「けいおん!」における「宇宙」とは、「大人(の世界)」の暗喩という言い方もできるわけです

では、彼女たちが大人になるために何が欠落していたのか、何を描くべきだったのか
それはエコールを踏まえたEDの解釈記事で軽く言及しましたが、おそらく性、そして恋愛だろうと思います

「けいおん!」は恋愛、そして性というものの描写を正面から描くことは出来る限り避けてきたわけですが、しかし第一期のEDがそうだったように、山田監督の中では最初から性的なもの、エロチックなアプローチはありました
本編でも、s1e13での律の描写や、s2e17での梓のいかがわしい(笑)歌詞に盛り上がる場面、そして映画けいおん!の作中でも、蘭鋳の前で頬を赤らめるムギが描かれたり、417号室での梓の唯に対する反応もありましたし、EDでも、あのブライトンの浜辺のコスチュームには性的な香りがありました
カラーは希薄でしたが、やはりけいおんの中でも性や恋愛に関する描写、成長はほのめかされていたわけです

現在、俯瞰してみると、「けいおん!」においても、山田監督の中では、性や恋愛は女性が少女から大人となっていく過程の中で不可欠かつ不可避の要素として最初から位置づけられていたと解釈するのが妥当と自分は考えます

前回の記事で書いたように、「けいおん!」は唯たちに見える、手が届く、選び実現する事のできる近い未来に進んでいく話、いわば「空の物語」で、「宇宙」の話ではなかったわけですが、キャラクターの成長物語を描いていく上で、山田監督にとって「恋愛」がいずれ重要なテーマ、成長のファクターになるという手がかりは散りばめられていたのだろうと思います

■ 「たまこまーけっと」における「思い」と「宇宙」

繰り返しますが、この作品では状況の変化への動揺として、かんなの口から「宇宙の入口に立った感じ」という言葉が出てくるわけですが、ここで言う「宇宙」もやはり「けいおん!」と同じく、広義においては、広大な可能性を持った未来のことであり、「大人(の世界)」という言い換えができると思います。そしてそれは、「けいおん!」よりは恋愛に歩み寄っていました

ただ、本作ではひとつの重要な指摘がされなければなりません
「たまこま」において山田監督が最初に言っていたのは、「いろいろな思いを描きたい」ということでしたが、主人公のたまこについては、その「思い」を彼女と商店街という、彼女を育んだ共同体との関係性に収斂させていきました。つまり個人と共同体の関係性に物語が収束したわけですが、そこに至る過程において、彼女に訪れた王子との結婚話は、彼女と共同体の繋がりを破壊しかねないものとして描かれました

つまり、「恋愛」がもたらす世界は、「けいおん!」で描かれたような、自分たちが望んだ通りの世界とは必ずしも限らないという指摘がされねばならないわけです。これが「たまこラ」において主要なテーマのひとつになることは、ほぼ間違いないところでしょう
 
■ 「中二戀」EDにおける「宇宙」と「空」

現時点の山田監督の最新作ともいえる中二戀EDですが、これは「宇宙」が頻繁に登場します。ほとんどテーマと言ってもいいでしょう。この「宇宙」が「恋愛」を寓意しているのであれば、非常に重要な演出、描写があることを指摘しなければなりません

それは、六花たち4人のシルエットに宇宙が重ねられるカット、そして最後の荒野に立つ六花から、彼女のシルエットが宇宙になり、宇宙そのものと同一になるという演出です
これらからは、宇宙が単に未来や大人の比喩のみではなく、個人の中にある内的宇宙、つまり「心」の不可思議な動き、自由、変化、ワンダーといったものを表現していることがうかがえます。すると、この映像でいう宇宙は、未来の比喩であると同時に、自分でもわからない恋愛の心の動きだと言えるでしょう

ところで、中二恋第一期のEDにもあった、ただ広がる青空と、だだっ広い野に立つ六花たちのカットは、未来に向かう少女のイメージ像として「けいおん!」のNTYのEDとも通じるものが感じられました。これは自分の個人的な想像ですが、山田監督にとって、あの大空の元に少女たちが佇む寂寥感やワイルドさは、10代という時期の原風景なのかもしれない、と思わなくもありません

なんにせよ、その「荒涼たる空の場所」から、(恋する)六花が宇宙と同化していく、というあの演出は、これから発表される「たまこラ」や上記の考察を踏まえると、少女が恋を経て大人の世界に行く、という非常に象徴的な意味を持っているようにも思えます

■ 「宇宙」と「戀」から「たまこラ」をうかがう

「たまこラ」は、おそらく中二戀EDの「宇宙と同化する六花」というイメージを、山田監督の描写で具体的に描くものになるでしょう
「けいおん!」は彼女たちが彼女たちの未来を自分たちで選びとる、そういう物語でした。言い換えるなら、「彼女たちの「思い」が彼女たちの未来を拓き作る」という真っ直ぐなテーマの物語でしたが、「たまこま」では、たまこの結婚話は彼女と共同体の繋がりを断つかもしれず、あるいは彼女の世界を破壊するかもしれない、という示唆がされていました。だからおそらく先述の通り、「たまこラ」では、その問題―「思い」が必ずしも望み未来を作るとは限らないというリアリティを、正面から描くことを避けられないでしょう
それはチラシに書かれたイントロダクション等からもすでにうかえます

というわけで、「けいおん!」では遂に描かれなかった性や恋愛を通じたキャラクターの成長が、「たまこラ」で描かれることを期待しつつ、それがどのような表現になるのか、描写になるのか、楽しみにして待ちたいと思います
それはきっと、楽しいことばかりでもなく、辛いことばかりでもなく、ときめきばかりでもなく、不安ばかりでもない、そして確実に成長する、そういう物語になるだろうことを、今から確信していますw


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テーマ : たまこまーけっと
ジャンル : アニメ・コミック

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