【映画雑考】 卒業式前夜の唯と憂の会話

83回見ました。今回の記事は、憂が劇中で果たしている役割についての思索を総括するものです
ただし、この記事はまだ思索の途中で、結論が出ていません。自分的にはメモがわりです

 
■ 憂と唯の会話の違和感

以前から卒業式前夜の唯と憂の会話にふたつの違和感を感じていました
とりあえずその会話を拾いだしてみます
 
 唯 「憂、ありがとね」
 憂 「え?」
 唯 「私、ちゃんと卒業できるよ」
 憂 「…うん!」
 唯 「あ、そうだ憂」
 憂 「なに?」
 唯 「大学行っても、みんなとお茶できるよね?」
 憂 「もちろん、できると思うよ」 
 唯 「そっかぁ…よかったあ」
 
自分はこの短い会話が毎回気になっていました、それは

 1)なぜ唯は憂に「私、ちゃんと卒業できるよ」とお礼をいうのか
 2)なぜ唯は憂に「大学行っても、みんなとお茶できるよね?」と訊くのか

1)はまだわかる気もしますが、2)はまるでわからなかったわけです、今回はこの疑問についての現時点での見解をまとめておきます。はっきり言ってまだこれだという確信には至っていない考察です
 
■ 改めて。「天使にふれたよ!」=唯たちの卒業式

唯が憂に感謝を伝えること、それ自体は、TVシリーズを踏襲すればなんの不思議もありません。唯は憂にずっと助けられてきたからです。卒業を前にこれまでの3年間の感謝を伝えたのでしょう

…という解釈が極めて自然なのですが、それが初見の観客に対して伝わるものなのか。映画の中からその理由を拾うべきではないか、というのが最初の疑問です

では、劇中で憂は唯になにをしたのか。旅行の荷物づくりをした? いやいや(笑) これは最初の方の平沢家での唯と憂の会話に答えを求めることができます…というか、これしかないと思われます。梓へのプレゼントを考えている唯に、憂は梓がいつも軽音部の話ばかりしていること、軽音部に入部したのは、唯たちの演奏を聴いたからだというサジェストをします。唯は「そういってたねぇ」と感慨し、それが後に、プレゼントを「曲」にする理由になります

「憂もいってた。あずにゃんは、軽音部と、軽音部の音楽が大好きだって!」

つまり、梓へのプレゼントが曲になったのは、むったんと憂のおかげであって、唯はここで「天使にふれたよ!」(卒業式前夜の時点では「天使」のフレーズはできていないが)を用意できた感謝を伝えたのだ、と理解することができます
ちなみに「私、ちゃんと卒業できるよ」の場面は、唯の手がギターを撫でるシーンでもあるので、このセリフが音楽と関連している、という傍証は"一応”ありますw

そもそも、梓になにかをすることは、自分たちは先輩の威厳がないまま卒業するんじゃないか?と思った唯が最後なんか先輩らしいことがしたい!」といって始めたことであり、つまり卒業までにやらねばならない自らに課した課題でした。これを終えなければ、自分は高校時代を卒業できない、そういう覚悟があったのでしょう。唯がそのための歌を作ることができた感謝を、「憂、ありがとね。私、ちゃんと卒業できるというセリフで伝えているのなら、一応辻褄はあいます。
またそれは、やはり「天使にふれたよ!」という歌を作り梓に贈ることは、唯たちにとって高校卒業と同義だったのだと解釈できます。これは、自分が過去の記事でたびたび指摘した「彼女たちの歌を梓に伝えることは、唯たち4人にとっての真の卒業式の意義を持っている」という解釈とも一致します

……でもこれ、半信半疑なんですよ。自分自身w
 
■ 唯と憂の関係性

本当にわからないのは2)ですw
 
このセリフが唯の未来に対する不安の現れであることは間違いないでしょう。しかし、なぜこれからのことを唯は憂に尋ねたのか? 憂は未来を見通す超能力者ではない。憂がどんな返事を返したとしてもそれは約束でも保証でもないのです
しかし唯は、憂の「もちろん、できると思うよ」というセリフに安堵する。この短い会話の持つ意味はなんだったんでしょう?
 
こうした会話は、現実においてはしばしば親子の間でかわされるものです。子供がなにか不安に思うことがあるとき、子供は絶対的信頼を置いている親にその是非や可否を尋ね、その答えに安堵する、ということがあります。親は未来を見通せるわけでもないし、事態のすべてを把握しているわけでもないのですが、絶対的に信じている親の答えに子供は満足し、安心を得るわけです

それを照らしあわせると、唯が憂に絶対的信頼をおいていて、それゆえに憂に未来を問い、その答えに安堵した、という、唯の憂に対する強い信頼と、憂の唯に対する無償の愛情という姉妹の関係性が描かれた会話として理解することは、可能です。過去の記事で指摘したように、唯の中で憂は平沢憂という個人以上に一般概念化された存在としても扱われており、唯にとって憂が絶対的信頼を置く存在であるのは間違いないところではあります…が?
 
ですが正直、この見解に確信が持てません
 
■ あの会話は巣立ち、だったのか?
 
唯はずっと憂の庇護を受けてきたのですが、卒業旅行では憂をトランクに詰めていくことはできませんでした。また卒業後のラストシーンでも、憂の姿はありません
そこで、「あの会話は、あるいは唯が憂から巣立っていくことを象徴する会話だったのか?」という仮説も浮かぶのですが、どうもそれを確とする傍証や情報を劇中から得ることは出来ません。それに、TVシリーズでは、憂は唯と別れることに対する寂しさを梓に打ち上げており、憂は決して絶対的存在ではない、ただの妹として描かれてもいます

憂については、絵コンテでカットされたシーンが数パートあり、もしかしたらそのへんもあわせてみてみないと、監督が憂をどのように描きたかったかを把握することはちょっと難しいかもしれません


とりあえずこの問題点については、現時点では以上で保留しておきます…っていうかしっくり来る解釈ができないのです。本当にw またなにか思索がまとまったら更新してみたいと思います

テーマ : けいおん!
ジャンル : アニメ・コミック

No title

>atomさん
コメントありがとうございます
ではほぼ見た通りの無難な解釈ということになりますね
ただ自分履いまひとつそこに確信が持てないのです。憂が登場するシーンがもう少しあれば補完が出来るように感じています

No title

 「ありがとう」のくだりは、改めて面と向かって感謝を言葉にして伝えたんだと思いますね。映画の中でも憂が夕飯の準備をしている描写や、唯の「憂も来てくれたら安心」という憂を特別頼りにしている描写もありますし。内心は曲のきっかけへの感謝もしているんでしょうが、唯は梓に送る曲のことが憂にはバレてないと思ってるので、今までのこと全般への感謝が基本ということでいいと思います。
 「大学に行っても」の方は、やはり唯の憂への信頼を表してるんだと思います。TVシリーズの最終回の描写ですが、憂の絶対性は唯から見たもので、子にとっては絶対的な親でも一人の人間であるように、残される一人の妹としての憂の一面を、親友の梓との会話を通して描いたんだと思いますね。
 おそらく完成版の映画で伝えたいことは最低限伝えられるように作ってあると思うので、カットされた部分によって新たな解釈が出てくるのはないと思います

No title

>TTさん
コメントありがとうございます
感謝なんですが、初見の場合、なんで親に言わずに憂なんだ?っていう疑問も出てくると思うんですよ。映画には親の存在感がありますので

後の質問は、運命を尋ねているというか、神様でなければ答えられない未来の有り様を聞いている、占っているというニュアンスの質問だと思います。作中で、憂が事前に準備した事例としては、トランクに詰めた和食が役に立ったことが挙げられますが、それをもって唯が憂なら未来を見通せると思ったと考えるのはやや説得力に欠ける気がします

まだ数回映画を見る予定ですが、この疑問点は随分以前から見ていて考えていたことなので、今後新しい見解が得られるかどうかはちょっとわかりません

No title

そこの会話は私も気になっていました。
「卒業できるよ」というところは、前のセリフと合わせて憂に感謝の気持ちを伝えているという解釈でいいと思います。
一応映画内でも唯にご飯を作ってあげたり、唯が「自慢の憂だよ~」と言ったりしていたので初見の方でもなんとなくわかるでしょうし、普通の会話としても違和感ありません。
ただ「大学行っても」のところが本当に問題ですね;
同じ大学に行く律たちに訊けば憂に訊くよりもより信憑性のある答えを得ることができるでしょう。
にもかかわらず、確か思い出したかのようにわざわざ呼び止めてまで言ったわけですよね。
つまりここには憂に尋ねるべき明確な意図が含まれている・・・はずですが・・・
一応私としては、「みんな」というところに憂も含まれていて、大学に行ってもこれまで通りの関係でいられるかを尋ねたという解釈で自己完結していました;
こちらの地域では、とうの昔に上映が終了しているため確認のしようがありません。
あとは超記憶術さんだけが頼りです。

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