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【学園祭】 鶴岡陽太音響監督講演会レポート!

と、いうわけで、昨日、11月4日に東京都国立市の一橋大学学園祭「一橋祭」で行われた鶴岡陽太音響監督の講演会「アニメに命を吹き込むこと」にいって参りました!
 
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講演の内容は鶴岡音監が関わられた膨大な有名作品を広汎にひっくるめ、音響監督の仕事について迫るもので、具体例として取り上げられた主な作品は「まどか☆マギカ」「涼宮ハルヒの憂鬱」「ゴーストハウンド」などでした
「けいおん!」は講演中一度だけちょろっと言及された程度だったので、悔しかった自分は「けいおん!」について具体的に質問しました(おい

当然だ!俺は「けいおん!」至上主義者だからな!!!!

ということで、以下はその意訳レポになります
まあ大雑把に空気感と、どんな答弁があったのかを確認していただければと思います

■ じょうほう!

今回のイベント参加は、全ては前日3日のけいおんオフに発端していた

いつもお世話になっているオフ参加者のエンドスさんから、前日に偶然、このイベントの話を聞くまで、実は自分はこんな企画があったことを全く知らなかった―というか、どうもこのイベント、その後に「氷菓」原作者の米澤氏の講演会があり、その前のコマとしてある企画で、その関連で氷菓ファンにはそれなりに知られていたと思われるものの、けいおんファンの筋からは全く流れてこない情報だったのだ

つまり自分は偶然、この11月3日というタイミングでオフを開催したおかげで知ることができ参加できたわけ
なんというか本当にラッキーだった

■ こうかい!

でも実は、3日のオフは自分は密かに体調を少し崩していて、終わりの頃には多分、微熱があった。気候の変化からくる軽い風邪だったと思うのだけど、帰宅してからもぽんぺで消耗していて、正直、4日の講演会は9割方断念するつもりでいた
3日の夜も8時間のオフの後だった割にはあまり寝付くことができず、これはやめたほうがいいかも、というのが3日深夜の判断だった
しかし、どうせ寝付けないしということでゴロゴロしているうちに、腹の調子は元通りになり、体温計で測っても熱はなかったので、もう回復傾向にあることがわかった。それでも面倒くさくて、どうしようかなあ、やめようかなあ、いこうかなあと悩んでいるうちに、自分の脳裏に電流が走った!(笑)

そう、自分にはかつて講演会に苦い経験があることを思い出したのだ

09年の秋の学園祭。山田尚子監督が母校で講演会をしたことがあった
あの頃すでに、けいおんを10年に一度の作品と信じていたし、愛していたけれど、当時はまだスタッフにはそれほど強い関心をもっていなかった―というか、自分はアニメ制作スタッフに強い関心を、才能を認めた経験というものが、山田尚子以前にほとんどなかった。だから、第一期を通じてけいおんが優れた作品であることは認めていたものの、スタッフにまで敬意と関心を持つほどではなかったのだ

自分は、京都まで山田監督に会いに行くべきかどうか前日まで悩んだ挙句、結局行くのをやめた。そしてあれ以来、少なくとも日本国内において、山田監督がああいうトークショーをやったことは一度もない。あれはただ一度、一回きりのイベントだった。そして、今の自分はやはりあれには行くべきだったと、強く思っている

――これは、あの時と同じかもしれない

そう思った時、自分は決断した
これは万難を排して行かねばならないと
元イベント戦鬼の血が叫ぶ

――経験から学ばぬものは愚者である!

中二病卒業しろ

■ くにたち!

今回の舞台、国立市
都民でありながら降り立ったことはこれまでの40余年の人生においてただの一度もない。そしてここが立川のひと駅手前であることを、自分は今日はじめて知ったw
というか、新宿の向こうは東東京都民にとって、都心を横断しての旅行に等しい西方遠征であり(笑)、中央線で一本とはいえ距離的には心理的抵抗感がある。自分が中央線に乗って新宿を超えていくのは、あのけいおんの絶叫上映会の時以来だった

果たして初国立。自分は愕然とした
なんか大通りの交通止めてパレードやってるよ!
地元商店街が全面協力して出店、屋台を並べてるよ!
街頭拡声器使ってるよ!
警察まで協力して人員整理やってるよ!
日曜なのに女子高生とか制服来て出てきてるよ! ウハウハ!(オヤジ死語)

――何これ…俺の知ってる学園祭と違う……

このことはあとから聞いて知ったのだけど、どうやら今日はたまたま、地元の大きなお祭りと、一橋大学の学園祭が重なった日だったらしい
でも、そんなことは思いもよらない地方大学出身の自分は「はー、これが東京の大学の学園祭だべかー!やっぱおらの田舎大学とは違うべなー」などとお上りさん気分で一橋大学に向かったのだった

冷静になれ! そんな学園祭ねえよ!w

■ かいじょう!

でまあ、会場の東2号館に行ってみると、昨日オフに参加されたメンバーの方々がなぜか次々と集結w 最終的には結局オフに参加された4人の方と連日でイベントに顔を出す事になりました。考えてみると自分がこの手のイベントでぼっちでなく参戦したのってUSJ以来かも?

10時半前に開場して、さっそくそのうちの4人で最前列(2列目中央)を確保して待機w(1人は少し遅れてしまって少し離れたところに着席)

で、会場となった2301教室の様子
黒板の左右に大きなスクリーン。司会のノートPCの画面を表示している。黒板の前に机と椅子が2組。向かって左側が司会用、右側が鶴岡監督の席。最前列の長テーブル5席は着席禁止で、その長机の向かって右端に、今回の企画発起人で進行管理役の女の子が着席していた

■ ぷろぐらむ!

司会はツジタヒロくんという一回生の方。ハキハキとよく通る声でしゃべる彼により、以下の内容で進行

1)講師紹介
2)音響監督とは?
3)キャラクターに声を与えること
4)BGMの効果
5)アフレコ体験
6)質疑応答
7)まとめ

(以上 115分)

例によって録音撮影禁止。このレポも超記憶術によるもので録音してないですよ?
また講演会という性質上、公演中の飲食も禁止。入退場も自粛してくださいとのこと。でも実際は結構出入りがあって、あれはちょっと失礼だったなあと感じた

客層は親子連れ、男女、結構後半で、会場の6~7割くらいは埋まっていたはず。やはり音響監督という性質上、声優志願の女性が多い、という印象だった

■ きゃりあ!

ところで入場時に鶴岡音監のキャリアなど紹介した簡単なコピーとアンケートを配布されたのだが、これを見て自分は初めて鶴岡音監の凄さを知った!
 
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クリックで拡大。なんですかこの作品群w
 
なんじゃこりゃ
当代の有名作品全部関わってんじゃねーかwww

…おいおい。これはものすごいことになりそうだ…!(孤独のグルメ調に)

■ つるおか!

というわけで、拍手とともに鶴岡音響監督が入場
終始笑顔を絶やさない方で、第一声もやわらかい声
まずは司会の子に「声大きいですね。いろいろやられてる方だと思います」と、職業柄声からチェック。また自らも「(仕事は音響監督だけど、自分が)人前でしゃべるのは得意ではない、粗相があったらすいません」とお断りから入る流れ
物腰の低い温厚そうな方だなあ…という第一印象だったが……

その数十分後―あの芸人声優・日笠陽子が弄り倒され、けいおんチームが思慕と畏怖を込めて「先生」と呼んだ音響監督・鶴岡陽太の恐さを垣間見ることになる事になろうとは、その時の我々は知るよしもないのだった!!

■ おんかん!

続いて第2項、「音響監督とは?」へ

司会「音響監督とはどんな仕事を具体的にするのでしょう?」

鶴岡「OPとかに○○監督っていっぱい出てきますよね。作画監督は作画をチェックする、直すことをする。背景をチェックするのが美術監督。そのふたつをあわせて一コマづつ撮影していくのが撮影監督。その後編集して、音を入れるのが音響監督で、いろんな仕事を束ねてます。アフレコでセリフを用意する。効果音を用意する。音楽を用意する、などです」

司会「音楽ができるタイミングや過程はどういうものでしょう?」

鶴岡「(TVシリーズの)通例だと、フィルムが上がってなくても、コンテがあればやれます。三ヶ月までギリ。半年までもやるやつはやります。でも劇伴、主題歌は作画が3ヶ月はくれよって。「けいおん!」では、劇中のシーンは音楽がないと作画できないので、半年前から作っていました。具体的に言うと1月から放送するなら、来週(11/11頃?)からアフレコです。実際に来週以降に1月の作品の録音(とり)があります。アフレコ時点では、フィルム(の仕上がり)は若干余裕があります。まだサイズが(編集前で時間内に)入りきってないとか。アフレコから1,2習慣でフィルムの完尺(これ以上切れない状態)ができて、効果音を仕込みますが、1週間とれません。TVでも映画でも、結局はせっぱつまったものになります。短期決戦が常ですね」

司会「どういった経緯で音響監督になられたんでしょうか?」

鶴岡「自分は一般的ではありませんでした。通常は音響制作会社に入って、仕事を覚えてゆくゆくはとなるんですが、自分はそういうプロセスを経ていません。僕は(音響の)制作をしたことが殆ど無い。普通は現場を仕切るのに制作の経験が必要なんですが、僕はアニメ制作会社にいて独自に音楽などを作っていましたが、その会社に音響やれる人がいないということがあって、必要にかられてやるようになったレアケースです」

まあこのへんはサクッといくよなサクッと。しかし自分はこの時まで、鶴岡氏はどこかのスタジオ付きなのかと誤解していた。自分で会社を構えていたわけですな
またこの経緯に、彼の非凡さがかかがえる。バイタリティと才覚のある人間は、どんな業種でも大抵こういうイレギュラーな立身の仕方をするものだ

■ せいゆう!

第3項。講演会は「キャラクターに声を与えること」というテーマに進行
上記したように、会場には声優志望の学生や、既に声優デビューしている無名の新人声優もちらほら来ていたようで、このへんのテーマには高い関心があったと思われる

司会「声優は必ずオーディションで選ぶものでしょうか?それとも違いますか」

鶴岡「どこまでオーディションでやるかはケースで違います。○○(役柄)は決めておいて、他はオーディション、とかもありますし、でも何がしかのオーディションはする。監督によっては(声優への)先入観を嫌って(声優がわからない)ブラインドでやりたいという人もいます。ただ膨大で非常に長時間になるので、他のスタッフは全て見ていられない。だから最終的にはプレゼンとなるデモテープの録音をする。そのプロセスは音響監督の仕事で、音響監督は全てのオーディションに立ち会うことになる。それは判断材料となるさじ加減を加えてスクリーンテスト代わりに録ります」

司会「どういうところがポイントになるか」

鶴岡「その人の持っているパフォーマンス(自分注)潜在能力というニュアンスか?)が見たかったりする。一番意味があるのはよく知らない人(声優)を聞くこと。とはいえ演技的なことはなかなか見えないから、声質と、喋れる人かどうか、ということを見る。基本的に知ってる奴(声優)は狙いがあって使う」

司会「どういった環境で収録が行われるのか見てもらいます」ということでここでスライドで、鶴岡氏が所有する収録スタジオの風景が映し出される…とまあ、これは映画けいおん!BD/DVDの収録記録に出てくるあのスタジオの風景
当然だわなw

司会「キャストのスケジューリングについて」

鶴岡「なるべく皆で揃ってやりたい。各自思惑を持ってはいるが、総合的に全体を見据えたいので、皆でそろてやるのがベスト、好ましい。TVアニメは直近の話数を半パートづつまとめて録るが、劇場ではスケジューリングがややこしい。項番をつけて順録り(物語の前から後へと順番に録音する)ならいいけど。できないこともあるので決め込みで。例えば「ブレイドストーリー」はほとんどバラ録りだった。主役の松たか子さんだけスケジュールを開けてもらって、他の人の録りに付き合ってもらいました」

司会「このスタジオには一度に何人くらい入れますか?」

鶴岡「20~25人はOK。30人は女性が多ければいける(笑) ガタイの大きな男がいるとちょっと(無理)。(1度の収録で)20人を超えるのはなかなかないけど、最近はそういうこともあるケースが多い。「境界線上のホライゾン」は35人くらい。あと生徒だけで31人(「ネギま!」のこと)みたいな(会場笑) 海外ドラマの「ER」とか40人いるかも。細分化して、パート分けして録音していく。吹き込んだらディレクションする」

(ここでスクリーンにPAコントロールパネルの写真が表示されて)
司会「これも鶴岡さんが使うんですか?」

鶴岡「いやこれは録音技師が使う。うちはマイクを4本、多い時は5本立てるけど、常時、開いている(収録している)マイクはその内の1本。それ以上増やすとエコーが入るので避けます。だから録音技師は台本と見比べて、どのセリフで誰がどのマイクを使うかということを常にチェックしている。録音技師も大変なんです」

司会「ディレクションについてお願いします。自分が考えていたものと違うな、というときどう判断していくんでしょう」

鶴岡「自分が思っていた雰囲気と違うな、でも面白いな、というのは最上級ですよね。でも思ってたのと違って、面白くない、というのはマズい。ディレクションは方向づけをするものだと個人的には思っていて、例えば「悲しそうにやって」なんてのはディレクションじゃない。そんなものは(声優なら)言わなくてもやれるでしょ。(指示の)具体性は抑えつつ、こっちにいきたいということを伝えるだから(声優からは)「言ってることがよくわかりません」と言われるよ(笑)

鶴岡さん、厳しい…
……多分、見ていた我々が最初に戦慄したのはこの下りだったんじゃなかろうか
だが、ここはさわりでしかなかった…

司会「キャラの方向性は創りあげてますか?」

鶴岡「イメージはできてるというかできちゃうよね。面白いか面白く無いか、作品に要求されてることに法って判断します。だからディレクターはOK出す力が一番度胸がいるのかなと思う」

司会「これはすごいと思った収録はありましたか?」

鶴岡「二度とできないと思ったのは稀にある。最近では「まどか☆マギカ」の10話は絶対に撮り直しはやめてくださいと(監督に?)お願いした。あれはやってみて、こじれたらワンパートづつ突き詰めていかなきゃと思ってたけど、すっとできた。いろんな要素がからまってそういうパフォーマンスができることがある。でもそれはレアケースで、キチンと組み立てて再現性を持ってできることが、一番視聴者にも伝わりやすいとも思ってます」

司会「声優ではなく、ジブリのように俳優を使うときにはどういう違いがありますか?」

鶴岡「やっている(俳優の)方も不安だと思うので、接し方としてはわかりやすく(収録の)プロセスを説明するのを心がけます。声優は自分がやっていること(収録)と仕上がりのフィードバックが(イメージ)できるだろうけど、彼らはわからないと思うので、プレイバックを編集して聞いてもらって安心してもらう。録音のプロセスに関することはちゃんと(フォロー)します」

司会「制作側が声優に対してもっている信頼感についてどう思いますか」

鶴岡「周防(正行)監督の作品に役所広司がいつもいるような話ですね(笑) 「こうやってほしい」「こうやってくれ」が伝わる安心感、核になるものがあると作りやすいので、信頼、気心の知れた人はそこにいて欲しいと思います。あと最近は若い人とのジェネレーションギャップがあって、若い人とコミュニケーションがとれなくてズバッと言えなかったりするので(笑) そんな時は年配者との会話で現場へのメッセージを込めることがある。いてくれると助かります」

……ここでも、きっと厳しいこというんだろうなあ的なものが伝わってくる(笑)
つかどう考えてもこの人そんなタマじゃない的なプレッシャーがwww
でもちょっと世代ならではの気苦労を感じて、しみじみともしたw

司会「ボカロなど機械の声は今後使われるようになると思いますか?」

鶴岡「ボカロはあまりわかっていないけど、声を材料にして演技させるのは難しいと思う。逆に演技を材料に声を変える(加工する)のはできると思う、というか今もやっている。その逆ができる頃には今の形態で映画が作られる科学力ではないと思います」

まあ、そりゃそうだろという
この質問はアレだ。声で感情描写をする仕事に携わる立場としては、ちょっと引っかかるものだったかも。プライドに関わる部分だったでしょう

■ じっけん!

ここで第4項、BGMの与える影響についての話題へ

司会「BGM発注の具体的な行程について教えてください。台本があがってからでしょうか?」

鶴岡「TVアニメは脚本は6本、場合によっては1クール13本がすでにあって、絵コンテが1話分あるかなくらい(の頃)が一般的。映画はコンテアップで発注。長いので半年前には絵コンテがあるので、そこで発注があります」

と、ここでスクリーンを使い、鶴岡監督が関わった作品のBGMの具体例を会場に見てもらう流れに。ここで出てきたのは「ゴーストハウンド」という作品のワンシーンで、キャラクターがギターで演奏するシーン

鶴岡「音楽を録音してから作画をするのが普通ですが、さっきのシーンは(作画に合わせて)音楽をアフレコしたものです。音楽のアフレコは(この時)初めてやってみました。石渡さんというジャズのギタリストさん(石渡明廣氏?と思われる)が、ちょうど作画と同じように指を使うのと、合っている音が近かったので行けるなと思って。アニメとしてはほぼ合ってると言えるくらいには合ったものができました」

続いてスクリーンを使って次の事例へ

鶴岡「BGMは最終的には趣味の問題という部分が多いですが、「まどか☆マギカ」ではコンセプチュアルにBGMをつけた例があるので、それを見てもらいましょう」

スクリーンに表示されたのは#1でまどかとほむらが保健室に行くシーン。続いて#10でほむらがきゅうべえを殺し、まどかと出会うシーン。同じBGMが使われている

鶴岡「これはこうでないといけないというBGMです。#1の時点では明らかにヘビーすぎるんですが、#10を見ると意図がわかる。「これは勝った」という手応えがありました。音楽のコンセプトがはっきりしていたのでできました」

続いてもう一つの事例へ

鶴岡「次はコンセプチュアルにBGMをつけなかった例です」

として紹介されたのは、「涼宮ハルヒの憂鬱 劇場版」のワンシーン。ここで面白い実験をしますとして、鶴岡氏自らがノートパソコンを操作

スクリーンに出てきたのは、部室でキョンがPCで元の長門からの緊急脱出プログラムのメッセージを受け取るシーン。このシーンには一切のBGMも、当然ながら入力のためのキーボードを操作するSEも入っていない

最初にオリジナルの、なんのBGMもついていないものを見せてから、その後に実験として、鶴岡氏が適当に盛り上がる感じのドラマチックなBGMを用意し、PC上で同時再生して同じシーンを観客に見てもらうということをした
これはとても面白い実験で、受ける印象は確かに劇的に変わった

鶴岡「(BGMをつけたものは)なんかいけそうだな!いいな!って思っちゃうでしょう?(笑) でもこのシーンはそれじゃいけない。こう見えてはいけないシーンです。だから、コンセプチュアルにBGMを一切付けなかった例です」

この実験は、BGMによっていかに見ている側の感情が誘導されるものかを実感できた
どうしてなかなかこの講演会、有意義だw

■ ほんしょう!

さてここでアフレココーナーへ
ここでは観客席から有志数名を募り、アフレコに挑戦してもらって実際に鶴岡音響監督に指導してもらうという体験コーナー
声優志願者には夢の様な話かもしれず
なんか本当にこの講演会、盛り沢山だよ!! 

使用するシーンは先程と同じく「涼宮ハルヒの憂鬱 劇場版」での教室シーンで、演技するのはガヤ録り。鶴岡監督は「ガヤには台本がなくアドリブで一定の時間をしゃべるので、エチュードの技能が必要。すぐに出来るほど甘いものではない」と説明。また「ガヤ」が群衆のことであることも簡単に説明。「ジークジオン」やってる人たちとかw

客席から集まったのは女性7名、男性2名。監督自ら脚本のある(つまりセリフが決まっている)シーンのガヤをセレクトしたらしい。教室前方の場にマイクが数本用意され、その9人にその場面の台本のコピーが手渡され、10分ほどの打ち合わせ(演技指導?)が始まった

――そして我々は見た
鶴岡陽太の表情が、プロのそれに切り替わるのを!w

まず目つきが違う。そして懇切丁寧などと言う言葉からは遠い。最低限のことしか言わないディレクションぶっきらぼうな口調で、ビシビシと要点だけを簡潔なフレーズで放り投げて、お前が考えろという印象。暗に「丁寧に言わなくてもできるだろ」的なノリだ

さらにマズかったのが、どうも女性陣の中に本物のプロ声優が混じっていたらしく、「この子はボーイッシュな感じですか?」などと、自ら積極的に鶴岡音監に聞いていく。これで完全にスイッチが入ったようだったw

とばっちりを受けたのは、2人の男の子たちw
ふたりの男性モブキャラのうちの1人は画面には現れない人物で、現れている方も画面の端にしかいない。キャラクターが画面にないということは、口パクのタイミングは会話の流れで測るしかないわけで、ちょっと難度が高い
まず一通り、そのシーンを通して見たあとで、鶴岡音監が素人の男の子にかけた言葉はこうだった

「ふたりのうち出てこないほうが(口パクしてない方が)それってわかるよな?

敬語とか一切なし。「わかるよな?」
――厳しいw
これが日笠さんたちが恐れてた鶴岡音響監督か…!!

で、テイク1。男の子のセリフが画面に収まらない
「セリフがトロい」ということで指示出し。笑顔だし声も笑ってるけど、笑ってるけど目が怖いw

――ダメだ怖い。この人もう現場モードだよ!!
しかもこれまだ素人相手に言葉選んでるだろうから、実際の現場は、これは……

テイク2。なかなか尺が収まらない
さらにまたあの女性声優っぽい人が尋ねたりしてる。やめろ火に油を注ぐのはやめろw 
そういう光景が数回は繰り返されたろうか…

なにこの和やかな笑いに包まれた会場の深層に流れる冷たい戦慄www

…いや、ホント…あの、よくわかりました音響監督……

いやでもまあ、本当に面白かったですよ!実にwww


■ しつもん!

というわけでお待ちかねの質問コーナーへ!
ぶっちゃけ結論から言うと、質疑応答の最後の質問は自分の質問で、鶴岡監督にも質問できちゃいました! ラッキーw

つまり3週間前の10月14日、スコットランドで山田監督に質問をぶつけたアホが、3週間後の11月4日、日本で鶴岡音響監督にも質問をぶつけてみたというわけだ!

声優オタでなく、スタッフ追っかけという
悪い方向にレベルアップ!!w

というわけで以下、順を追って

Q1:08年の「シゴフミ」と11年の「まどか☆マギカ」で制作環境に変化は。また思い出に残ったことがあれば

鶴岡「自分のスタジオが変わったことくらい。取り組み方はここ10年くらいは変化がない。むしろ2000年くらいに、アナログからデジタルに変化したのが大きかった。激変して、チャンネル数、編集精度、録音速度も倍になって、5時間かかっていたものが2.5時間くらいですむようになった。「シゴフミ」はJCスタッフの横倉Pに今日その話をしていいかと断りを入れたけど、思い入れが強い作品で、その経験は「化物語」で役に立った。サウンドコンセプトが明確で、狙いに行って作った例だった。「まどか☆マギカ」は面白いとは思ってたけど、正直ここまで受け入れられるとは思わなかった。調子に乗ったまどかの「クラスの皆にはナイショだよ」のセリフは狙ってたね(笑)」

Q2:(アクトプロの声優養成所の生徒?からの質問)新人声優が起用されるコツは?

鶴岡「悪目立ちしてもしょうがないけど、生徒A、Bなどをもらったとき、いかに爪痕を残せるかだよね。日頃の積み重ね、普段からどれだけ人の目に触れてるかということです。例えば故・野沢那智さんの事務所は、いつも秋になると直電で「(うちの若いのを)見に来てよ」ってきたから断れなかったよね。人と機会を作って目に触れること。生徒Bのときにはチャンスを逃さず(他の人の)目に触れることです」

――「爪痕」なんて単語を使うところに、この方の本来の気性がかいま見える…w

Q3:長いシリーズもので声優が成長することによって、当初の役柄のイメージと乖離していくときはどうしていますか?

鶴岡「長いシリーズでは新人に限らず成長して必ず乖離していきますね。1クール程度の短いシリーズでは爪痕を残して終わるくらいだから、乖離の心配より(終わる頃になって)最初からこうできたらよかったよね、という感じ。新人には、6話くらいまではやり直すことはやぶさかじゃない、そのくらいでないと(どうすればいいか)わかんないでしょと言ってます。自分がこうやったんだと実感を持ってもらえればいいので。長いシリーズで、乖離していくとベテランはもう戻らないのでそのまま持っていきます。そうしないと演る方はフラストレーションがたまるし、見てる方も物足りなくなるよね。海外ドラマでシーズン10位になると、最初の方と比べてすごい(癖の)盛り方になってるでしょ。それで面白い方につながっていけばいいと思う。「ケロロ(軍曹)」とか最後ひどい(いい意味で)からね(笑)」

――また「爪痕」。良くも悪くも言葉を飾らない、ストレートな物言いをする方だというのが改めて分かる回答w 「面白い」という単語はここまでキーワードのように何度も登場していて、鶴岡音監の中で一つの重要な指標であることがうかがえた

Q4:アフレコの長い時間、キャストのテンションを保つために気をつけていることは?

鶴岡「2.5時間くらいなら別にいい。「ケロロ(軍曹)」とか毎回5時間くらいやっていたけど、そのくらいになるとむしろ、どうしたらもっと面白くなるかと延々やっている感じ。それでキレそうな人は、分かる人(監督と気心の知れたキャスト)に「こいつ頼む」とコッソリ頼んだりはするよ

――いろいろ苦労してるのが忍ばれるw ベテラン声優がいてくれると助かるというのはこういうことなんだろう

Q5:「けいおん!」では歌うシーンが多かった。キャスティングで歌の巧さは判断基準になったのか

鶴岡「歌はオーディションしないからわからないけど、やるのがわかっていれば事前情報を仕入れて気にしたりはする。上手い下手ではなく、声質はひとつの尺度になる」

――やっとけいおんの話題がでたよー…w

Q6:仕事を統制する中で、どこかで見切り、納得が必要になると思うが、その判断はどうしているか

鶴岡「個々の局面の拠り所としては、全体でベストなパフォーマンスが出るのが基準になっている。アフレコ現場で重視することは、キャリアがだんだん生きてくるものだと思う。自分も若い頃は全体を見失っていたことがあったが、やっていくうちにベストが見えてくるようになると、最後は現場の信頼関係がものをいう。納得はないかもしれないけど「この人がいうならしょうがない」というのが決め手になる。それがあるかどうかだと思う」

――アフレコは人間、現場が作るものであることがうかがえる回答

で、次のQ7が最後の質問で、自分の質問
さっと手をあげたら、それまで客席後方に視線をやっていた司会が目の前の自分を指してくれた。どうすれば指されるかというのは、セラムンイベント時代の経験上、実はちょっとしたコツがあったりする。それを使ったら上手くいった

実はこの質問は、以前から鶴岡音監にしてみたかった質問だった

Q7:「けいおん!」のように人物を繊細に描写する作品の場合、監督の隠された演出意図を共有して、その上で声優さんに(演技)指導をしているのか、それとも鶴岡音監もフィルムと台本しか見ていない状態で演技指導をしているのか

説明すると、この質問の意図は、グラスゴーで山田監督がいっていた「自分のイメージをどう周りの人間と共有させるかが難しかった」という話と関連している。また、自分は以前から声優に対して「その場面の監督の演出意図を説明され、理解して演技していたのか?」という質問をしてみたかったのだ。今回はそれを鶴岡音監にぶつけてみたというわけ

鶴岡「それは、一般の視聴者の立場に近いと思う。シナリオになければ隠された意図は最後までわからない。監督の意図があるなら事前にミーティングする項目ではあります。でも、こちらとしては解釈の多様性を持った選択肢を提示できることが重要で、総合的な判断は監督に選択してもらうのがベストだと考えてます。だからポイントでは打ち合わせがあるけど、あまり事前に細部までは打ち合わせはしてません

ここで鶴岡監督の表情が苦笑いというか…なんというか、迷ったような困ったようなものになった印象を受けた

鶴岡「「けいおん!」は実は難しい。あれはストーリーがない―というか、女子高生の他愛のない日常会話が描かれているだけだから、ああいうシナリオが一番難しい。これをどうすれば良いのか?(演出)意図があると(見えると)嫌です、という場合もある。(山田)監督のフィーリングでしか(決定することが?)出来ないという感じ

……という回答だった
個人的には狐につままれたというか、自分が期待したビシッとした具体的回答ではなかった。それまでハキハキと断定的に、断言するように物事を喋っていた鶴岡音監が、自分の質問に対しては抽象的な返しをしてきた、という心象だった
そう。起伏の見えにくい話だからこそ演出が難しく、その「難しい」部分をどうしていたのかを本当はもっと掘り下げたかったのだけど、さすがにこの場ではこれ以上は無理だった

でもとりあえず、ポイントでしか打ち合わせはしていない、山田監督の鶴岡音監への信頼に拠って作られていたらしいことは確認できた。「けいおん!」は、鶴岡音監にとっても異端的に難しい仕事であり、最後の「監督のフィーリングでしか出来ない」というフレーズには、山田尚子の天才によって成った仕事である、ということが垣間見れたと思う。というか、少なくとも自分はそう受け取った

というわけで、けいおんと特に関係ないイベントでも流れをけいおんに引き寄せる
それがファンの生きる道であるw

■ おしまい!

ここで質疑の時間は終了。質疑応答は20分なかったかもしれない。もうちょっととって欲しかったと思う

最後に鶴岡音監の言

鶴岡「この企画は一期生がやったそうで、こういう企画を若い人がやると聞いて驚き、感じるところがあって来ました。若い人とコミュニケーションを取るのは大変だけど、次の世代の人達がこうしてやってるのを見て――別にまだ、後を誰かに託そうなんて気は無いけど(笑)、一業界人としては勇気づけられました。モチベーションをもらいました。ありがとうございます」

このあと、企画をした一期生の黒いスーツに身を包んだ女の子に会場から拍手。画用紙に指示出しをして、時間管理進行をやっていたのだけど、終わる頃はかっきり予定通りの12:40で、しっかりしてました
さらに男子学生から花束贈呈。会場拍手。鶴岡氏が「なんか引退するみたいだね(笑)」と苦笑していたのが印象的で、その花束を手に、鶴岡陽太音響監督は退場されました
 
(以上)
初稿 20121105

【SpecialThanks】

自分の質問への回答については、鶴岡音監の手前、自分には詳細な議事録がとれなかったので、エンドスさんのメモを参考にさせていただきました。ありがとうございました!

テーマ : けいおん!
ジャンル : アニメ・コミック

No title

>うそこばんさん
コメントありがとうございます
どうもありがとうございますw 楽しんでいただけたらよかったです

No title

はじめまして。
自分はけいおん!は一度も見たことないのですが、gunosy先生に案内されてきたら、鶴岡さんの話だけでなくSLAグラスゴーのレポートとか読めて大満足です。
ありがとうございました。

No title

>桜高軽音部FC会員さん
コメントありがとうございます
とりあえず都内だったので行きました。地方だったら行っていなかったと思います
けいおんについて鶴岡音監に直接質問ができたのは成果だったと思います

No title

レポおつかれさまでした
別記事で今回のイベントの告知をされていましたが、先生が直々に行かれるとは思ってませんでしたw

けいおん関連のインタビューで、日笠さんが「デビュー作(おそらくスケッチブックかな?)から鶴岡監督にしごかれた」みたいな話をされていたのでお名前は知っていましたが、関わられてる作品や生アフレコでのやりとりを文面から拝見するに、やはりプロとしてすごい方なんだということはわかりました(小並感

あと、けいおんの収録に関しての回答は、鶴岡監督にしてあのようにしか答えられないのかなぁとも思います
作品を作るうえで必要な演出・声優への指示はできても、それをさらに高めるためには山田監督の感性と才能に委ねたというところでしょうか
逆に言えばそれは、先生のおっしゃるように山田監督の天才性と、鶴岡監督にとっても「けいおん」という作品の存在とその成功が特異だった、その証左なのかなと思いました

No title

コメントありがとうございます

>じゅうおん!さん
けいおんに関しては積極的に話したがらない感はあったかもしれません。なぜあれほどのヒットになったかの手応えを感じていない作品なのかもしれませんが、その辺も含めて質問をした意味はあったかと思います
もし機会があれば、声優さんにも同じ質問をしてみたいですね。むしろ彼女たちの方がはっきりした回答をするかもしれません

>あずにゃん530さん
ファンにプロもアマチュアもないですw 自分も鶴岡音監がここまでいろいろな作品に関わっているとは知りませんでした。そういう意味でも勉強することの多いイベントでした
臨場感が伝わって楽しんでいただけたらよかったですw どうもありがとうございました

>myc894さん
なかなか得られない機会なのでやはり行ってみてよかったと思います。このイベントがあった事自体、今もってあまり話題になっていませんし、記録を残せたことには意義があったのではと
百石さんとの話も聞いてみても良かったかもですね。今後もスタッフの話が聞ける機会があったら、なるべく行ってみたいなあと思います

しまった・・・

これは無理してでも行くべきだった・・深夜残業さえなければ・・・・
(一橋大なら急げば40分もかからないのに)

私もじゅうおん!さんと同じような印象を抱きました。もしかすると終始「?」な感じで仕事をしていたのかもしれませんね。監督のインタビューを拝読していると、「さもありなん」な感じがしないでもないですw
(特にキャラの動かし方については共感するのがなかなか難しい気がします)
サントラのライナーノーツを読む限り、BGM担当の百石氏の方がけいおん!の世界にすんなり入り込んでいた印象があります。百石氏とのやりとりについては質問してみたかったですね・・・不覚orz

No title

レポートお疲れ様です。
お恥ずかしながら、「けいおん!」の音響監督が鶴岡氏であり、
また多くの有名作品に携わっていたことも初めて知りました。
まだまだ、けいおん!ファンとしてはアマチュアですね・・・

アマチュアと対比して、プロの厳しさも今回のレポートで初めて伺うことが出来ました。
一般のステージだからと言って生半可なことはしない。
それが本当のプロなのだと痛感させられました。

また、けいおん!という作品が非常に奥深く、
味わえば味わう程『面白味』が出る作品なのだと改めて思いました。
表面を撫でるようにサラッと見て楽しめる安易な作品ではない「けいおん!」
だからこその難しさが制作スタッフ陣にはあったのだと、鶴岡氏の苦笑いから伺えました。

それだけの語りつくすべきに値する作品を描き上げて下さったかきふらい先生。
また、その原作を素晴らしい映像に仕上げて下さった山田尚子監督始めとする
京都アニメーションのスタッフの皆様。
そして、現地に行ってなくても臨場感のある詳細なレポートを毎回起こして下さる超記憶術先生に
この場を借りて敬意を表します。
ありがとうございました。

これからも、「けいおん!」の展開があることを、アマチュアながら一ファンとして期待しております!

PS:
質疑応答の最後を「けいおん!」の話題で締めさせる所、さすが超記憶術先生です。
やはり、プロは違いますね!

陽太こまっちゃう

 本ブログでは、折に触れて「けいおん!の何が良いのか解らない」という意見に対し厳しく批判を展開しておられますが、ひょっとすると他ならぬ鶴岡陽太さんが「何が良いのか解らない」サイドの方なのかな、という印象を受けますね。超記憶術先生の質問に対する回答の歯切れの悪さや、(あれだけ大成功した)けいおん!について自分からはあまり話したがらない様子、などから見ますと。
 まあ、そういう“自分自身でも掴み切れていない作品”でもキッチリ演出してしまえる所に、鶴岡さんの才能の凄さが顕れているんだとは思いますが‥‥。
 講演中、ジェネレーションギャップをしきりに気にされているような発言をなさってますが(最後に花束貰って「引退するみたい」ってのは自意識過剰な感じですけど)それって「自分に理解不能な作品を提示してきた山田尚子監督」や「そんな『けいおん!』を絶賛した視聴者」に対しても感じてる事なのかもしれませんね‥‥。

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