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【映画考察】映画「さらば青春の光」を通してのED解釈

映画「さらば青春の光」を見ました(やっとかい!w)
この映画は英国のロック・バンド「The WHO」が彼らのアルバム「Quadrophenia」をベースに制作された1973年の映画で、山田監督が映画のEDを作るにあたってインスパイアされた作品です。「映画けいおん!」のEDの舞台になっている白亜の崖をもつブライトンの海岸「セブンシスターズ」は、映画「さらば青春の光」のラストシーンの舞台となった場所として知られています
ちなみに第二期作中でも(s2e03)、The WHOはりっちゃんの好きなドラムのいるバンドという設定ででてきてますねw

でまあ、この映画を見て、映画けいおん!のEDにひとつの解釈ができたので、今回はそういう内容です

■ 「さらば青春の光」の概説

「さらば青春の光」は60年代の若者の青春の蹄鉄を描いたものです
大雑把にストーリーを説明するとこんな感じ

主人公はモッズファッション(当時の若者の風俗文化)に身を固め、文字通り「モッズ」を名乗る若者グループ(チーマーのようなもの)の一員です。クラブに入り浸り、酒・女・ドラッグと享楽にふける日々を送っているのですが、彼らには「ロッカーズ」という黒ジャンの対立グループがいます
でまあ、この両者は日頃の抗争の決着を付けるべく、ついにブライトンの浜辺で大乱闘をやらかします。この乱闘の最中、主人公は目当ての女をモノにしたりするわけですが、この暴走が主人公にとっては青春の頂点でした
結果、彼らは一斉検挙され、裁判にかけられます。そうして留置所から帰ってきた主人公の環境は一変します。もう街にはモッズもロッカーズもなく、主人公は親から勘当され、職も失い、彼女も友人に取られてしまいました。傷つき再びブライトンに戻ってきた主人公は、あの日の熱気が去ってしまった街にも失望します。主人公が海岸通りをぶらぶら歩いていると、共に裁判に立った仲間のバイク(ベスパ)を発見します。彼は変わらぬ友人を求めてそこに駆け寄るのですが、そこで見たものは、ホテルのしがないベルボーイとして働く友人の姿でした
全てが終わったことを悟った主人公は、セブンシスターズの断崖の海岸へとベスパを走らせます。そしてそのままバイクとともに崖から身を投げようとするのですが、映画はバイクのみが転落して破壊された姿を映して終わります

この作品を要約すると、主人公は青春の終わりを受け入れられず、凡庸な一般人、労働者になってしまうくらいなら自殺しようとするのですが、結局死に切れず、その絶望と凡庸を受け入れて終わるわけです

ちなみにこの映画は夕日のセブンシスターズを、ひとり彼方から手前に歩いてくる主人公で始まっています。これはおそらくEDからの続きであり、主人公が青春の終わりと心中できなかったこと、この映画全体がいわば「回想録」であることが示唆されています

■ セブンシスターズを巡るふたつの映画の意味の違い

というわけで、「さらば青春の光」において、セブンシスターズの海岸は、「青春時代が終わる場所=青春時代の墓場」として扱われています。この位置づけはおそらく「映画けいおん!」においても同じといえるでしょう
そして、映画公式ガイドブックにあるように、山田監督は「さらば青春の光」に言及した後、映画のEDについて一つの示唆をしています(P.125)

「澪が花を手向けるカットや彼女たちが海を背景に崖の上を走っていくシーンなんかは、澪の映画に対する解釈として描いています。ちなみに唯たちが走っていく方向は、『さらば青春の光』のスクーターとは逆方向です。」

この点は全く監督の語ったとおりの描写で、彼女たちが駆けていく方向はベスパの走った方向とは逆方向です。そのことから「映画けいおん!」のラストシーンの意味は、映画「さらば青春の光」のラストシーンの逆の意味を持たされていることが自ずから推察できます

つまり、「さらば青春の光」が青春時代が終わることへの絶望―己の全能性への幻想を棄て、己の凡庸さを受け入れる絶望を描いたものであるなら、「映画けいおん!」のそれはその逆で、青春が終わることを受け入れてなお、己の可能性を信じ、絶望ではなく希望を持って未来へ走っていく姿といえるでしょう。そしてそこには、4人の仲間たちも共にあるのです
そう解釈すると、あのラストには改めて山田監督のキャラクターへの愛情の深さ、優しさを感じずにはいられません

そして澪が海岸に投げ捨てる白バラは、終わる青春時代への文字通りの手向けの花なのでしょう

■ 白薔薇の園に置かれた楽器たちの意味

そしてこのふたつの映画を見るともうひとつ、対比構造になっているものに気づきます
それはベスパと楽器です

「さらば青春の光」では、ベスパは主人公にとって青春の象徴とも言えるものでした。主人公がどこに行くのにも使っていたのがベスパでした
ですが主人公のベスパは留置所から出た後、交通事故によって破壊されてしまい、友人のベスパは死にきれぬ主人公によって崖から落とされ、地面に激突して破壊されます。この映画はその破壊されたベスパを映し続けて終わります。ラストカットは「破壊されたペスパ」なのです

翻ってけいおんにおいてはそう、楽器が唯たちの青春とともにあった、青春の象徴なのです。そして「映画けいおん!」のラストカットは、白薔薇の園に置かれた5つの楽器でした。

これで自分にはようやく、「映画けいおん!」のあのラストカットは「さらば青春の光」の対比なのだとわかりました

これまであのラストカットの意味は、「唯たちは青春時代の終わりと共に楽器を棄てるのだろうか?」「将来的に音楽と決別することを示唆しているのだろうか?」と、様々な解釈ができたのですが、「さらば青春の光」のベスパとの対比であるとすれば、あのラストカットの意味は、「澪たちは楽器=青春の象徴を破壊しない、棄てない」ということが第一義にあると解釈すべきです
そしてあれが置かれた場所は白薔薇の園、つまり彼女たちの少女時代を象徴するモラトリアムの時空であることから、そこに楽器たちは保存され安置されつづける、ということが言いたかったのでしょう

まとめると、「楽器は彼女たちの少女時代、青春時代の象徴として、これからもあり続ける」ということが、あのラストカットの意味と解釈するのが最も適切であるように思われます


今回はひとまずこんなところでw

■ 追記補足(1/20 5:40)

映画「エコール」を踏まえて、ラストカットを見ると、モラトリアムの白バラの花園=エコールで描かれた少女時代を象徴する学校に置かれた楽器ですが、ここの背景の「壁」には左上に「窓」があります。つまり外界に通じているわけです
よって、彼女たちの「音楽」はこの世界から外の世界にも出ていけるもの、と解釈すべきで、やはり上記の解釈を補強するものということができると思います

テーマ : けいおん!
ジャンル : アニメ・コミック

No title

>ちゃ~り~さん
コメントありがとうございます
そうですね。澪が米軍のジャケットで、唯が黒いジャケットだった理由も「さらば青春の光」からですよね。自分は唯と澪は第二期のふたつのテーゼを象徴する存在と認識しているのですが、そのふたりが同志であるという描写は「さらば青春の光」を背景にしたものだと思いますし、これまでの解釈と合致するものです。「kids are alright」についてもおそらく仰るとおりだと思うのですが、もう少し考察をしてみたいところです
「エコール」はこれから見る予定なのですが、またなにか発見がありそうですw

No title

大変為になる考察で、自分の中のED解釈が間違ってなかったことを補強出来ました。
ありがとうございます!
モッズとロッカーズの絡みで言えば、澪ちゃんにモッズコートを着せ、
ムギちゃんにロッカーズのジャケットを着せたのも映画に対するアンチテーゼだったのでしょうね。
更に付け加えるならユニオンジャックにくるまってる時にムギちゃんのぞく全員が目をあけていること
(kids are alrightのジャケットでは閉じてる)なんかもそういった意味が込められているのでしょうね。

個人的には秘密の花園のモチーフになったであろう「エコール」との関係性もいつか
山田監督からお聞きしてみたいものです。

No title

>atomさん
コメントありがとうございます
そうですね。やはり元ネタ作品はみなきゃいけないなあと思いましたw

No title

本編と曲の歌詞からEDの主張は明らかでしたが、インスパイア元の作品と合わせ、改めて映像の解釈が定まりましたね。
やはり元ネタ作品は面倒がらずに見ておこうと思いました

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