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【映画読解】 空の向こう、星の彼方

今日、たまこラブストーリーの公式サイトがリニューアルされ、イントロダクションが発表されました
そこにはこうありました

 高校3年生の春。
 そんなことを思いはじめた少女は―恋をする。

 北白川たまこは、知らなかった。
 それは、「宇宙の入り口」に立ったような感覚。

そして、同じく本日、C85冬コミの京アニブースで、映画「たまこラブストーリー」のチラシが配布され、その裏面に山田監督からのメッセージが寄せられていました。そこにはこうありました

 17歳になったたまこが、はじめて目にする恋の世界
 きっと輝いているはずです。

これらを読んだ時に、雷に打たれたような衝撃を受けました
それは、これで自分にとって、「映画けいおん!」の最後の最大の謎が、ほぼ確信を持って氷解することが出来たからです
勘の良い方ならなんのことか、もうわかると思います
そう。それは「宇宙と交信」というフレーズに込められていた意味と、その理由です

■ 夜空ノムコウとひこうき雲

映画「けいおん!」において「宇宙と交信」というフレーズは作中2度登場します
最初はオカルト研が唯との会話の中で「屋上で宇宙と交信」する、といいます。そして2度目は、卓球のシーンで純が「(唯たちは)宇宙と交信でもしてるんじゃないの?」といいます

この2度登場する「宇宙と交信」。映画を初めてみた頃からひっかかっていたフレーズでした
2度も登場する以上、このフレーズには監督が何らかの意味を込めていたのはおそらく間違いないと思っていたのですが、自分にはこれがなんなのか確信が持てませんでした

TVシリーズを振り返ると、宇宙=星空が印象的に登場するのはs2e12、野外フェスの回です。5人が未来の夢を語り合うこの回のラストシーンで、こうした会話がかわされます

 唯「これからもずっと、みんなでバンドできたらいいね」
 律「そうだな」
 紬「うん」
 梓「そうですね」
 澪「ああ。ずっと、ずっとな」

ラストカットが満天の星空で、そこに最後の澪のセリフがフィーチャーされます
この回において「星空」=「宇宙」であるならば、「宇宙」とは「未来」のことと理解することができるでしょう

ですが自分は、これまで、この説には今ひとつ説得力がないような気がしていたわけです
まず、星空が宇宙を意味させようとしているというのが、そもそも仮定ですし、宇宙が未来であるというのは、ぱっと見、やはりこじつけのように思われました

そして映画けいおん!に帰るわけですが、ここで出てくる「宇宙と交信」。確かに「未来と交信」と読み替えるとすんなり読める気がします。ですが、果たして唯たちは屋上で星空を見上げたわけではない。彼女たちが見上げていたのは空。一筋のひこうき雲がたなびく空だったのです

だからわからなかったのです
「宇宙と交信」とはなんのことなのか?
山田監督はこのフレーズに何を込めていたのか?

■ 未知の世界

ですが、このたまこラブストーリーのイントロダクションと、監督のメッセージを見てわかりました
やはり「宇宙」は「未来」でほぼよかった
しかし正確に言うなら、確信を持ってそれは「未知の世界(としての未来)」のことなのだと思います

たまこまーけっとにおいて、「宇宙(の入り口)」というフレーズはe11に登場します
たまこのお妃騒動に動揺するみどりたち3人の会話のシーンです

 みどり「なんでそんなあっけらかんとしちゃってんの? 急に…こんな…
      例えるなら、私から熊のぬいぐるみをとりあげるみたいな…」
 史織「うん、わかるよ。なんか、怖いよね。なにかが、急に変わっていくって」
 かんな「みどちゃん。私も、宇宙の入り口に立ったみたいな気分なんですよ。動揺してる…」

この場面では、史織のセリフがローアングル(しゃがんでるみどりのPOV)から画面隅の史織なめ星空ズーム、そしてかんなのセリフがかんなの横顔なめ星空、です

この場面における「宇宙」の意味合いは「映画けいおん!」におけるそれよりもはるかに明快です
ここでの「宇宙」とは明らかに「未知の世界(としての未来)」のことであって、彼女たちにとって親友の婚約・結婚という話はまさに今これから広大無辺の宇宙に臨むような、圧倒されるほどの不安と動揺を与えるものだったわけです
比喩として、とてもわかりやすい使い方だったと思います

ですが、ここでの「宇宙」を「映画けいおん!」での「宇宙と交信」にそのままフィードバックして解釈するのはなかなか難しい、というより素直につながらないと思います。上記したようないくつかの疑問点から、ストレートにつなげて解釈することには抵抗がありました

…が、この山田監督のメッセージを見て、山田監督が「宇宙」というフレーズに込めているものは改めて「未知の世界としての未来」なのだとハッキリ確信が持てました

山田監督はたまこまーけっと、たまこラブストーリーを通して、宇宙の入り口」という表現を、本編と、公式サイトのイントロダクションでも使っている。これほど印象的に使いまわしているフレーズに、「宇宙」という言葉に、込められた意味がないわけがない

ならばきっと映画けいおん!においても、「宇宙」には同じ意味を込めたはずです
では、その上で「映画けいおん!」を解釈すると、どうなるのか?

■ 近い未来の「約束」

自分は過去、「映画けいおん!」について、これは4人と梓が未来の約束を交わす話だと総括しました
旅行中に登場するいくつかの予約という約束―ホテルであったり、ティータイムであったり、ライブであったりとは、彼女たちに未来の約束を要求していました。そうして生まれた「天使にふれたよ!」は歌詞に歌われた通り、これからも仲間であり続けるという約束の歌であり、未来にまた一緒になる約束の歌だったと言えます

純は、4人が宇宙と交信してるんじゃないか?と梓に振りました
しかし彼女たちは屋上で宇宙と交信などしなかった
唯たちは遙か未知の世界に自分たちの未来を尋ねない
その代わりに、自分たちの意思で、互いに、自分たちが望み願う未来の姿の約束をした
おそらく「宇宙と交信」とは、作品にそういうメッセージを込めるために―この作品は、唯たちが自身で自分たちの未来を選び進んでいく物語なのだというメッセージを込めるために置かれていたフレーズだったのだ、と自分は解釈しました

だから、彼女たちが屋上で見上げたのは宇宙=星空ではなかった
もっと近い未来、そして自分たちが選ぶ未来としての、ひこうき雲の空だったわけです

■ ラブストーリーという「宇宙」

というわけで、「映画けいおん!」が「"空の向こう"の物語」なら、次に挑む「たまこラブストーリー」は「星の彼方」つまり「"宇宙"の物語」なのではないか? 山田監督は、"ラブストーリー"をそう位置づけたのではないか?
…というのが今の自分の推測ですw
今あらためて、たまこまーけっとのe11の件のシーンを、映画けいおん!の屋上のシーンの対比として見てみるべきなのかもしれません

そう考えてみると、自分にとってやはり映画「たまこラブストーリー」は、「映画けいおん!」と、ある意味で対比して鑑賞すべき作品、ということができそうです

来年の4月を期待して待とうと思います!

テーマ : けいおん!
ジャンル : アニメ・コミック

No title

>ふぁにぃさん
コメントありがとうございます

いつかの記事に書いたかもなのですが、「けいおん!」はその繰り返す楽しい学生の日常、青春というモラトリアムと、その終わりをきっちり、それも前向きに描いた作品だと思うんです
でも、「たまこま」はたまこって少女を中心に、延々とどこまでも続いていく人々の営みとしての終わらない日常を描いていたと思うので、その中で恋愛というテーマが描かれるのは不可避であり必然であり、自然であるように思うんです。確かにTVシリーズからすると晴天の霹靂なんですが…(あの鈍感すぎるたまこが恋愛とか…って思いますw)

あるいは「たまこまーけっと」は山田監督が描きたいテーマを描くために創りだされた「汎用世界」なのかなと、自分はそんな風にも思っています
異世界の作品と捉えるのもありかもですw

No title

前記事から拝読させて頂きましたが、なるほどと感銘を受けました

きらら系作品に代表される「日常系」と呼ばれるジャンルの作品は
「変わらない日常」を舞台に「幸せ」を恩着せがましい形ではなく、
「楽しさ」を徹底的に描写する事で得られる「多幸感」を感じる作品が多いと思います
そのループ感、延々続行ルララwに自分は癒されています
(昨夏の某作品はどの内容が何話だったか?印象薄かったものの問題なんか何もなかったりw)

「けいおん!」もそのフォーマットの中で主人公の成長が描かれましたが
基本は少女達の話であって、アニメにおいては少女の魅力「少女フェチズム」的なものが
溢れ出していました(1期EDはプロデビューした彼女達なので違った魅力が)
そういった部分を楽しんでいると「少女の成長」を楽しめても「少女が大人になること」に
自分は抵抗を感じてしまいます。かごの中の鳥を愛玩する感覚なのかもしれません

この感覚から「少女が大人になるための性、恋愛」を「作品本編内で描写する必然性」は
自分は感じていません。不要という事ではなく「主ではなく従たる位置付け」という認識です
映画のEDは本編ではない事も大きいと思います。先生のED考察を拝読した事から少女の性愛が
メタファーで描かれてる事に気付けました

「けいおん!」がざっくりと「女子高生の3年間を切り取った話」とするならば、
「"切り取る"」のではなくて、ずっとずっと彼女ら追い続け見続けていたいという欲求に
駆られつつも、果たして卒業した彼女達を「同じ感覚」で魅力的に捉える事が出来るのかは
疑問です。その意味ではシリーズが完結した事は受容出来るかな、と
もちろん、あの素晴らしい映画ありきですが

「たまこまーけっと」の世界観を楽しんでいた自分にとって、「ラブストーリー」の概要は
青天の霹靂という意味では「宇宙に放り出された」気持ちでしたw
真っ先に脳裏に浮かんだのは、個のたまこを殆ど描写せずに恋愛展開もなかったのに
映画では恋愛?という疑問でした。TVシリーズと違う?だからタイトルも変えたのかと
自問自答してみたり。みどりに入れ込んでる事もありますが…
宇宙が「未知の世界としての未来」という事は「現在(TVシリーズ)の世界」とは直結していても
異なる世界という見方をすれば自分にも受け入れられそうです
未知の世界に戸惑う事をたまこに背負わせるのなら、自分も一緒に戸惑ってみようかという心境
とでも言うべきでしょうか
とは言え、たまこ達が髪留めを取った大人の姿になったら寂しさを感じてしまいそうです

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