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【たまこラブストーリー】 読解メモ 01

ネタバレが入っているメモなので、視聴前の方は見ないように

視聴して気づいたことをつらつらメモがてらまとめているものです
まとまったものになるかはまだこれからですが…

なお、「たまこラブストーリー」の読解、理解にあたっては、「映画けいおん!」の時と同じく、その時リアルタイムの自分の認識を記録がてら残していきます。そして間違いがあれば更新記事で直していって、その当時の間違いはあえて過去の記事に残しておきます
これは後から、作品の理解に至る思考の過程を、記事を読み返すことでトレースできるようにしておくためです。後年まで間違いが残ってるのは恥ずかしいですが、この作品に対する敬意と誠意の表明ということです
今回も頑張ろうw

今回はまず課題の洗い出しということで、気がついたキーワードや情報などをランダムに整理することもなく書き出してみます

【キーワード】

By always thinking unto them.
アイザック・ニュートンの言「いつもそのことばかり考えていただけ」
ニュートンの思想、活動がこの作品を読み解く上での鍵になると思われます
彼の代表的な著書「プリンキピア(Principia:ラテン語)」が、主題歌「プリンシプル」の名づけの理由でもあると思われ。つまりあれは万有引力、引かれ合う力のことを歌ってるw

正確に言うと、彼はその書で運動の法則を示しました。物体を「重心に全質量が集中した、大きさをもたない質点」と定義した上で、すべての物体の運動が物体間に作用する「引かれ合う力」によって影響を受けることを3つの法則にまとめたわけです。作中、かんなが「バランスポイントを、意識していますか?」というセリフをたまこにいってますよね。互いの重心が惹かれ合っている、というのが今回のテーマであるでしょう
まあ、その相互に引かれ合う力が、実は天体にも作用しているよ、というのが彼の言説の画期性だったわけですが(一般にこれが万有引力の法則)、おそらくそれが、この映画が地球と月(つまり天体)の場面から始まる理由なのだろうとわかります。地球と月に作用している引かれ合う力。それが月を地球の周りに「ぐるぐる回らせて」いる…みどりがトイレの前で告白しないもち蔵にいいましたよね。「これからもたまこの周りをぐるぐる回っているだけ」だと。つまり冒頭の地球と月の関係性は、たまこともち蔵の関係性をなぞらえたものなので、月はもち蔵に例えられるのだろうと思います

「物が落ちる」のは万有引力のため。「引かれ合う力」に由来するわけで、この映画においては「物が落ちる」ことはそのまま恋愛に例えられるのかも。冒頭、カウンターの上からりんごが床に落ちるのも。放り投げたバトンが落ちてくるのも。放り投げた糸電話が放物線を描くことも
引かれ合う力、という話だとかんながしていた磁石の話ともつながってきそうですし、もうちょっと深い意図があるかもしれません

すいません、まさか恋愛映画を読み解くのに
物理法則の知識が必要だとは思いませんでしたw
さすが山田尚子!俺たちのできないことをやってみせる!そこにシビれる憧れるゥ!

どうでもいいですが、恋愛関係を天体の運動に例えるのは「ARIA」を思い出させましたねw 相手に惹かれているのは衛星だけではないと、アルくんが言ってましたっけ。これもまさにそういう作品でしたw

りんご
ニュートンが万有引力の法則を発見したきっかけがりんごだというのは俗説ですが、まあニュートンつながりでりんごが出てくると

また、りんごには伝統的にアダムとイブをたぶらかした「禁断の果実」、「知恵の実」という寓意があります
これまで山田監督は、「りんご」を過去に手がけたフィルムに何度も登場させています。「映画けいおん!」のED、「中二病でも恋がしたい!」のED。そして今回の「たまこラブストーリー」。その文脈で見ると、監督は「りんご」に無垢な人を成長(変貌)させる「知恵の実」としての意味を持たせていると推察されます。有り体に言えば、子供を大人にしてしまうもの、知識や体験といった、その要因を「りんご」に寓意させている。「映画けいおん!」のEDでは、ブランコの上にあったりんごを誰かが(唯?)がおそらく食べた。そのことが彼女たちを無垢な白薔薇の園から追い出してしまうのでしょうし、「中二病」のEDでは、りんごが大人への果実だからこそ、中二病でいたい六花は中二病の銃でそれを撃ち砕くのでしょう。そして今回の「たまこラブストーリー」では、あれはやはりたまこやもち蔵を大人へとひとつステップアップさせる知恵の実であって、「恋愛」を象徴するイコンなのだろうと思います。EDであのりんごは巨大になって、ボートの上には巨大なりんごがあったりするわけですが、あれはまさしくもち蔵のたまこへの恋心、愛情そのものだろうと思います。冒頭でも、りんごが棚の上から床に「落ちる」のは先述の通り、彼の恋心が落ちるほどに大きく実った、ということでもあるでしょう
この映画では、りんごは前2作とは逆に、肯定的に扱われている。それは確かにこの映画が恋愛映画であるというスタンスを明示していると思います

あと、もち蔵のPCがMac=Apple社製でしたね。りんごは執拗にこの作中のイコンとしてでているので、まだまだ意味があるだろうと思います。今後も掘り下げてみる方向で

MARS
火星。星とピエロでマスターのカウンターにあるレコードのタイトル。そしてもち蔵の機関車にも「FLY TO MARS LUMBER Co.」の文字がある。2つならば意図は必ずある
赤い星。「赤」がキーカラーなのか。りんごの色。カセットデッキの色。たまこを寓意する風船の色…? 軍神…は関わらなそう。ところで彼にとってあの機関車は火星に向かう銀河鉄道なのか? 映画研究会部室の座席に「艦長」とあったが、あれは確かに松本零士っぽかった(笑)
地球がたまこ、月がもち蔵なら、火星とは…要考察

【数字関係】

もち蔵の部屋 「123」
「123はけいおん!」と言いたくなるところですが(笑) ニュートン絡みでいうと、彼がプリンキピアで提唱した3つの運動法則の暗喩なのかも、とも思います

汽車の模型 「5」
TVシリーズからそうなんですが、あの記者は輪っかになったレールの上をただ「ぐるぐる回る」だけで、あれもその、たまこに対して踏み出せないでいるもち蔵を象徴してるんだろうな、と思います
また上記の通り、あの車両には火星に向かうようなニュアンスがあり、銀河鉄道がイメージされているのかも。そこに「5」という数字がある。でも、火星は第4惑星ですしねえ…
 
映画研究会部室 「32」
入口の扉に32の数字があります。フォロワーさんからの指摘ではこれは華氏32度=氷の溶ける温度のことではないか、とあり、確かに扉には「火の用心」の貼札もあったりしますw
一方で第二法則、第三法則なのかも…ニュートン絡みで特別な数字だったりするのかな? 自分でも、もうちょっと考察してみたいところです
 
映画研究会部室 「route66」
よくある置物だったりしますが…まだ意味の特定は不明

銭湯でたまこが使っているロッカー 「3
第三法則なら作用と反作用の法則のこと。まあ確かに彼女は惹かれると同時に逃げようとしましたけどね…このへんも要考察。今の時点ではメモまで

新幹線 JR京都駅11番線 めばえ22号 7号車両
  「11」「22」「7」
めばえというのは「恋愛の芽生え」という意味でしょうね。もち蔵が乗ろうとしたところは6号車両と7号車両の間の扉。昨日早速言って撮影したりしてきました。これはマジックナンバーというより舞台巡りの参考かなw 

もち蔵のたまこファイル 「14」
14ファイルありました

御霊祭 5/18 「5」「18」
参考まで

上を向いて歩こう 「9」「8」「6」
「上を向いて歩こう」が坂本、作詞が中村大、作曲は永

うーん…わかんねーw

【キーアイテム等】

星空(宇宙)
過去の記事の通り。未来。大人の世界。転じて「不安」のニュアンスが多いように感じられました。星空が出てくるシーンはみんなその人が不安に思っているシーン。告白を考えているもち蔵に星空がフィーチャーしますし、告白されたたまこも星空のもとで怯む。もち蔵の部屋の降りっぱなしのウィンドウシェードは星ですが、告白の後の返事を待っている彼の不安な気持ちを表現しているのでしょうし、
たまこの画像を消そうとするもち蔵のPCの壁紙も星空でした


もち蔵です。後述しますが、そう思って月の空の演出を見ると読み取れることがあります

糸電話
これはもう見たまま。たまこが受け止められないのは、もち蔵からの思いを受け止められないでいるという寓意→最後に受け止められる

バトン
トップ=餅=もち蔵…だったとは!わかんねーよ!w
バランスポイント=もち蔵の重心。真心。これを受け止められないというのも糸電話と同じですね

コンタクト
告白されてなくしてしまう。これをつけてない間はもち蔵をまともに見れない
たまこは、コンタクトの消失(もち蔵からの逃避、混乱)→コンタクトをつける(もち蔵に向かおうとする)→チャイム(自身の恋愛感情の自覚)→カセットテープ(思いを受け止める腹をくくる)→返事、というステップアップがあります

りんご
上記した通り。また幼稚園時代のもち蔵の名札もりんごであり(たまこはチューリップ)、もち蔵が子供の頃からたまこが好きだったことを暗喩している

風船
冒頭の空に舞い上がる無数の風船は、ラストシーンで看板にあり、再現される。ふたりの成長を象徴する演出ともなっている。タイトルシーンでの赤と青の風船はそのまま、たまこともち蔵の寓意か

汽車の模型
上記の通り。TVシリーズよりあり、ぐるぐる回り続け逡巡するもち蔵の寓意か。またMARSへ向かうことが示唆されてもいて、そこにもち蔵が銀河鉄道のような夢を重ねている可能性も。なぜ「5」という数字がそこに重なってくるのかが今のところ疑問です
 
【花ことば】
 
タンポポ
過去の記事で指摘した通り、「別離」「思わせぶり」「神のお告げ」「真実の愛」「愛の神託」とあり、そのシーンごとで花言葉が当てはまるように出ているようです。彼女たちが将来の夢を 語っているシーンの道端にあり、あのへんは「別離」なのかなあとか。タンポポの綿毛は「別離」でしょうし、EDラストシーンの2つ並んでいるのは「真実の愛」なんだろうなとか

マーガレット
映画研究会部室でもち蔵の話す横顔のシーンの背後にあるポスター。またEDに登場する。言うまでもなく本編EDにも登場している。花言葉は
「恋を占う」「心に秘めた愛」「貞節」「誠実」。まあもち蔵(のたまこへの思い)そのものですねw

南天?
告白された後、内庭でお玉もって呆けてるたまこの左側にある。フォロワーさんによると南天とのことですが、まだよくわかりません。南天なら「
機知に富む」「福をなす」「私の愛は増すばかり

つつじ
告白された後、内庭でお玉もって呆けてるたまこの右側にある。「自制心」「節制」「恋の喜び」

黄色い花
S極、N極の会話をしてるシーンに脇にある花。ワンカット抜かれますし、読み解く上での重要な花言葉があると思います

【演出】

ひこうき雲、飛行機の音
史織が将来のことを話した後のシーンのたまこに重なる。また史織がホームステイのことをたまこに告げたシーンの後にたまこにも重なる。解釈上はすなおに「映画けいおん!」を踏襲していいのでは。史織が将来を見据えているということの暗喩、そして先に進めないでいるたまことの対比を狙っているのではと思います
 

月が雨雲に隠される
上記の通り、月はもち蔵の寓意。告白のあとで、月が雨雲に隠されるのはたまこの乱れた心、泣きたい気持ち、隠れたい(隠したい)気持ち、そんなところでしょうか

チャイム
最初の感想の通り、ステージの移り変わりの合図
たまこのもち蔵が好きだという自覚(恋愛)の始まり。みどりのたまこへの恋愛感情の終わり

映画研究会
恋の問題を抱えるもち蔵に二人の友人が話すシーンの背景、壁の文字
犬山「何かできることないか?」 背景の壁に「開かずの間」
桃太郎「いつでも俺たちを頼って欲しい」 背景の壁に「出入口」
でも彼らは結局役に立ったのかというと…? 
ちなみにたまこが訪ねてくる入口には「火の用心」と「32」の数字がありました

♪「上を向いて歩こう」
バトン部がフェスティバルで選ぶ曲が坂本九の「上を向いて歩こう」なわけですが、「幸せは雲の上に/空の上に」と歌う歌ですし、上を向く、という行為が空、そしてその向こうの星空(宇宙)につながっていくわけで、大人に成長していく登場人物へのエールともなっているんだろうなと思いました。劇中によるとあれはバトン部の中で候補曲を出し合って決めたもののようですが、誰が提案したのかはわかりません。もしかしたらどこかにそのヒントはあるのかも? また見てみます

【色、キーカラー】

青、新緑(緑)、黄色
監督が挙げたキーカラーです。新緑の緑は生命力にあふれた萌える木々の色であり、主人公たちの新しいステージを彩る色としてふさわしいといえます。青は青空。やはり登場人物たちを見守る色と言えそうです
問題は黄色ですが、タンポポの花の色。恋の色、ということなのかもしれないと思いました


りんご、カセットデッキ、MARS、3年生の色。小津安二郎の赤?
赤に込められた意味は何かあると思われます

【その他】

犬、パンダ
映画研究会で使っている着ぐるみ。なんで犬とパンダなんだろう? 犬は中の人が犬山くんだからなのかな? パンダに関してはEDでりんごを摘むのがパンダだったりするところからして、もち蔵が自分を投影してるのかなという気もする。だとしたらなぜパンダなのかという…これも課題ということで

劇伴
これは読解とかそういうんじゃないですが、本編の劇伴は新作またはTVシリーズのものを編曲したものを使っていて、多分TVシリーズと全く同じものは、使ってないか、ひとつくらいしか使われなかったんじゃないかと思います
同時上映は別。あっちは逆にTVシリーズと同じものを使っていたと思います

テーマ : たまこラブストーリー
ジャンル : アニメ・コミック

No title

>Padossさん
コメントありがとうございます

ありがたいお言葉を頂いて恐縮です。とりあえず自分の認識が他の方の観劇に何らかの刺激や気づきを与えたなら、幸いに思います。ですがあくまで自分の認識ですので、監督の本当に意図したものであるかはわかりませんw

南天ですが、どうもあれはマンリョウであるようです。縁起物としてよく植えられていますし、5月くらいまで実が残ってなっていることもあるのだそうです。ただ、花言葉の意味(徳のある人・寿ぎ・財産 等)としてはあまり場面に合う感じでもありません…仰るとおり、「赤い実」ということに意味があったのかも。小津安二郎の赤へのこだわりを、山田監督がオマージュしたものなのかもしれませんね

マスターのコレクションはさっぱりですw 自分はあの音楽の方面に関してはさっぱり論じることができませんw
 
なにはともあれ、先ほど、現時点での自分のたまこラブストーリーの読解総論をアップしましたので、この機会にご笑覧いただければと思います。これからもどうぞよろしくお願いします

No title

はじめまして。
詳細なレポートに楽しませていただき、またさまざまな考察には感嘆いたしております。
今回「たまこラブストーリー」は封切り日に行ってからは、昨日(もうおととい)の土曜にようやく2回目の鑑賞をしたのですが、その間じゅうぶんに超記憶術先生の解題を読み込む機会があったので、作品を見る幅が広がり、前回にない楽しみ方をさせていただきました。
(特に「新幹線のカウントダウン」には、ストーリーとの高揚感ともあいまって感じ入るものがありました)

ところで、「南天」と聞いて私が連想したのは花言葉ではなく、「ナンテン」が「難転」に通じることによる、民間伝承の「便所で(あるいは便所から戻るときに)転んだときのおまじない」でした。
ご存知のとおり、たまこは鴨川で派手にすっ転んだので、そこにかかるのかと想起したのですが、「便所」に通じる部分がないので、ちょっと結びつきが弱いかなと思うところでもあります。
またこのことを念頭において2回目の鑑賞に挑んだわけなのですが、葉の形がヒイラギのように尖りが張っているので、もしかすると南天ではないのかという気もします。
検索してみると、南天にせよヒイラギにせよ、春先まで実が残っているケースは稀にあるようなのですが、そもそもこの季節に結実する植物自体ないようなので、赤い実を表現したこと自体には何らかの意図を感じます。

あと、個人的にはマスター・コレクションの「qum Daiwtiigyam」とは何なのかが気になってGoogle翻訳にかけてみたのですが、芳しい結果が出ませんでした。
ひとつそれっぽいなと思ったのが、予測検索で出た「kum Da Vidjam」というのをセルビア語から翻訳したもので、「彼女に会いに最高の男」となるのですが、作者名義が東南アジア系で、こんな離れた地域を結びつけるのは、わかりにくいたとえかもしれませんが、3 Mustaphas 3 くらいで、無理があるかもしれません。
まあこれは劇中曲集が出たときに、解説・訳詩がつけば解決するのでしょうが。
(ちなみにボスニア語から翻訳すると「彼らを見ることが名付け親」とさらにわけのわからないことになります(笑)

No title

>ふわさん

コメント&閲覧ありがとうございます
他にも幾つもの寓意があると思います。ですがそういうのを見なくても、素直に見て感動できる、そういう魅力を持った作品だと思います!何度も何度も見返すことをお勧めしたいです!

No title

初めてコメントさせていただきます。
今日たまこラブストーリーを観ました。本当に素晴らしかったですね。
まだまだ余韻残る中、感想ブログを訪ね回りここへとたどり着いた次第です。
なるほど、りんごにはそういう意味があったのですね。
明明後日また観に行こうと思っているのですが、1回目よりもさらに『たまこラブストーリー』を楽しめそうな気がします。

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