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【私見】 「響け!ユーフォニアム」の見どころと意義について

ユーフォニアム第1話の感想はこちらの記事を
それを前提にして、自分が思う本作の展望と、作品の意義など、簡単に書き起こしておきます

******

第1話感想でも展望で記述した通り、またスタッフコメントなどを見ても、本作は、やがて部がまとまって、金なり全国大会なりを目指していく話になることが推察できる。つまりスポ根もの路線というわけだ

そこで自分が注目するポイントは
「ふるい落とされる人たち」をどう描くか
「目標に向かって行くこと」をどう描くか
このふたつだ

今は時代の価値観が「全体<個人」「努力<楽しさ」「優勝や表彰、プロデビューなどの社会的成功<個人の充足感(=自己実現)」といえる。一言で言えば個人主義が支配的ということだ
努力・克己・切磋琢磨、そしてその先にある勝利、そして社会的成功(=自己実現)を唯一至上の価値とするかつてのスポ根は、80年代、90年代を通じて浸透した個人主義礼賛と、努力が必ずしも報いられるものではないという現実認識、一種の諦観が浸透したことで訴求力を失った

ところで、特に昨今の娯楽作品における「努力」の嫌われようは相当なものだ
少年ジャンプはかつてキャッチコピーに「友情・努力・勝利」を掲げていた。今も友情や団結、勝利は重んじられているが、今のジャンプの作品は、努力型でなく天才型やひょんな事で才能を得た主人公が目立つ。これはラノベではさらに顕著で、まず主人公は努力などしない。「楽して自己実現」こそ魅力的で訴求力のある主人公の姿なのだ

ちなみに、「けいおん!」はそういう時代の延長線上に登場した「部活もの」だった。「けいおん!」は、個々人の価値観をぶつけあうことや、目標のために全 体を重んじ個を棄てること、根性と努力で成功を目指すことetc…を排除した「現代的部活もの」としてできあがっていた。これは自分が2010年に「けい おん!」を総括した時にすでに指摘したことだ。しばしば「けいおん!」は唯たちが練習をしていないと批判されるが、これは誤読で、確かに唯は天才肌だが毎日ギターを練習している。練習する姿が画面に描かれていないだけで、描かれなかったのは努力を毛嫌いする視聴者のニーズを読んだに過ぎない、といえるw

しかし「ユーフォニアム」はあえて時代の価値観に逆行して「古典的部活もの」であるスポ根をやろうというのだろう。社会的な成功を至上価値として、全体がまとまり、努力し克己し切磋琢磨し、目標を目指すという物語を
それはある意味で「けいおん!」の対極にあるものを作ろうということだろう

今のところ、自分はこの作品の目指すところを上記のように理解している

だから最初にいったことがポイントなのだ
その一方で「ふるい落とされる人たち」―つまり、全体の協調や努力、成功に重きを置かない人たち。努力なんかより、全国大会や金を取ることより、自分が楽しければそれでいいじゃないかという人たち、今の世間のニーズを含む層。もっと露骨な言い方をすればそれは「けいおん!」でもある。それがどう描かれるのだろうか? 下世話な話、そこには興味があるw

そしてもっと重要な事は、一度は時代や世間に拒絶された、昔ながらのスポ根の登場人物の姿を、どう訴求力ある魅力的な存在として描写するのか、だ。社会的成功を至高とする姿や、個を殺した団結の価値や、泥臭く辛い努力の果てにある僅かな報いを、どれほど魅力的に描き出せるだろうか?
おそらく、それがこの作品の成否を握るのだろう

……とはいえ

時代状況は2009年から変化していて、「けいおん!」の後にきたアイドルアニメブームを見ると、そこには「集団」「チーム」が「社会的成功」を目指す姿が肯定的に描かれ、世間に訴求力を持っている
だからこの挑戦は京アニにとって、決して勝算のないものではないのだろう。京アニなりにポスト・アイドルアニメを模索した、その回答が「響け!ユーフォニアム」なのかも?しれない

*****

そんなことを思いながら、第二話以降を見ていこうと思ってます

No title

>emanonさん
コメントありがとうございます

まあ、やはり成功目標を掲げて、そこを目指すという話にはなっていくと思うんです。ただその過程で切り捨てられていく者、その価値を今どう扱うんだろうというところがやはり気になります。現代はかつてのように、成功だけに価値がある、成功を目指すべし、という幻想はとうに社会から失われている時代で、落ちこぼれやひきこもりが認知されている時代ですから。その辺は作品の訴求力にも関わってくると思うんですね
演出についてはもう山田さんなので、わりと安心してみていられると思いますw

楽器演奏とかは、自分はもうノレないだろうなと思いますw 寿さんがバックアップ的に見守るポジションなんでしょうか。そこはちょっと面白いですねw

よく言われることですが、京アニはやはりオリジナルの本を書けるスタッフがいないのが唯一弱点なのかなと思います。次回作はまたオリジナルに挑戦して欲しいと思います

No title

追伸 : 事前情報なしで観てましたが、こちらの第1話視聴メモを見て・・・

ん~、キャストに楽器を振るというあたりはさすがに 「二匹目の何とか」
なんじゃないかと良からぬ感想を持ってしまいますね。ついでに吹奏楽部の
上級生2人は 「一匹目」 ですしw

原作モノかオリジナルか、は良い意味で取ればネタが良ければこだわらない、
別の意味で取れば営業上の理由 (出資の枠組みを作りやすい) でしょうか。

場の空気、人物の呼吸と光線の加減が見事です

「けいおん !」、その後の 「氷菓」 や 「中二病」 「Free !」 。いずれも
”部活動” という枠の中での友情や恋愛をさまざまな (時に突拍子もない形で)
方向から描いてきた京アニ部活シリーズで、真正面から ”部活動” を描いた
・・・部活動とは何をするところなのか、目的は? 意義は? といった作品に
なるのかな、というのが第2話まで観た感想ですね。

(あ、物語の軸自体は部活からややはみ出しているとはいえ、 「たまこマ」 も
部活が背景の一部を構成してましたっけ)

素材と方向性を見るに本来は実写ドラマ向けであろう原作を、あえてアニメで
描いてみる。どこまで実写という手法を越えてみせてくれるか、も楽しみです。
登場人物とその場の雰囲気を光の加減で演出するあたりは、さすがだな、と
感嘆してます。

しかし、こういう作品が深夜枠でしか放送出来ないのがとても惜しいですね。

No title

>atomさん
コメントありがとうございます

個人的には納得できる分析です
何にせよ、「部活もの」のオルタナティブになるだろうことは間違いないでしょうし
おそらく今回、社会的成功という目標を目指さない側は淘汰されるのだろうと思います(でないと金を目指すという話にはならないので…)。その淘汰がどう描かれるかが個人的には最初の見どころかなと思っています

共同体という切り口からアプローチすると、楽隊=共同体が何かの成果を追求するということは、全体主義的な価値観を肯定する話になるわけで、それは「たまこまーけっと」で地域共同体と個人の関係性を扱ったことからさらに一歩踏み込んでいると言えるかもしれませんね

何にしても、再び熱血系部活に回帰するなんて、時代の価値観の変化を感じています
自分はやっぱりこれは「けいおん!のヒット」→「アイドルもののヒット」という流れが背景にあるんじゃないのかなと思っています

部活といふもの

上記のアイドルアニメの場合、チームの目的(社会的成功)がまずあって、その後キャラ達がチームに加わる形になりますよね。
すると当然、活動目的をメンバー全員で共有することになり、共同体全体の目的と個人の価値観(自己実現)が対立することはなく、社会的成功へつき進むとしても、(先生の言葉を借りれば)個人主義が蔓延した世間への訴求力を得ていると思います。

ところが部活の場合、結果を出したい者とゆるくやりたい者が居合わせることがしばしば見られます(漫画スラムダンクにおける、全国を目指すゴリと楽しくやりたい先輩たちのように)。
それにより、部活以外のチームでは見られないような、スポ根的価値観とアンチスポ根が矛盾しつつも(一時的にせよ)共存する様を描くことが可能になります。
以前先生がけいおん考察で、「けいおんは萌アニメの客観視を経たオルタナティブだ」と分析されていましたが、再び先生の言葉を借りれば、この作品においても、上記の部活という共同体の特性を描くことで、京アニが過去に自ら生み出してきた、「部活もの」のいうジャンルに対する、客観視によるオルタナティブを建設しようとしているのではないか……。
以上が僕が考えている、けいおんを経て再び部活青春アニメに回帰した石原、山田コンビの、今作品における批評的意味です。
後で大ハズレで赤っ恥の可能性もありますが、今のところは上記の考察を書き留めておきます。

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